■昭和オヤジの言い分

 そんな若者たちとコミュニケーションを取ろうと昭和世代上司が近づくも、

「名前に“ちゃん付け”したらセクハラだし、飲みに誘えば、“残業代は出ますか”なんて言うし。コンプライアンスが、どうのこうのとうるさいくせに、ちょっと叱っただけで退職代行を使ってサヨナラですよ(笑)」(40代男性・経理)

 結果、世代間の断絶が埋まるのは難しくなっている。

「そもそも覇気がない。オレらが若いときは、仕事で爪痕を残してやろうと必死だったけど、最近の若いやつは、そうした気概がない」(50代男性・営業)

 西村氏によると、若者の体質が、こうした反応を生んでいるという。

「今の若者は、“意見対立は避けたいが、自分らしさは貫きたい”と考える傾向が強い。結果、“今のままで良い”と成長への願望も薄いです。一方で、社会的承認欲しさに、SNSのような小さな同調集団にこもってしまいがちなんです」

 とはいえ、挫折もしたくないし、欠点を指摘されたくない心理は、人間誰しも同じ。西村氏が助言する。

「昭和世代も新入社員の頃は、当時の上司から頭から尾まで過保護のアンコがギッシリの“たいやきクン型”なんて言われていましたから。若者を理解不能などと言わず、こちらも自己拡大するつもりで付き合うのが歩み寄りの第一歩です」

 子供叱るな来た道じゃ、老人笑うな行く道じゃ――。ベテランと若者の対立は、今も昔も変わりませんな。

西村美東士(にしむら・みとし)
専門:社会教育学、青少年教育、ICT教育。
略歴:勤労青少年指導者大学講座1期生、東京都社会教育主事、国立社会教育研修所専門職員、昭和音楽大学助教授、徳島大学教授、聖徳大学教授、板橋区社会教育指導員(中高生の居場所づくり)を経て、2020年4月より若者文化研究所代表。
著書:『学びの見える化の理論と実際-教育イノベーションにむけて』(勁草書房、2023年3月)等がある。
若者文化研究所公式サイトhttp://mito3.jp