アメリカとイスラエルによるイラン攻撃で緊張が高まる中、中東からの原油タンカーの通り道であるホルムズ海峡が封鎖されたことにより、原油の約9割を中東に依存している日本は深刻なエネルギー危機に直面しようとしている。
そんな折、経済産業省は4月15日、次世代型地熱発電とペロブスカイト太陽電池への開発支援の拡充を決定した。だが、注目を集める次世代エネルギー技術は、地熱発電やペロブスカイト太陽電池だけではない。
その一つとして挙げられるのが、核融合発電だ。これは原子炉を使った発電の一種なのだが、従来の原子力発電とは、どのように違うのか。サイエンスライターの川口友万氏が説明する。(以下、カギカッコ内のコメントはすべて川口氏)
「原子力発電と核融合発電の違いは、熱の生み出し方の違いにあります。どちらも核燃料で水を沸かし、その水蒸気でタービンを回発電する点は同じですが、原子力発電がウランやプルトニウムといった重い粒子が分裂する熱を使うのに対し、核融合発電は水素を核融合反応させた際に起こる熱を使います。核融合は反応を続ける条件が崩れればそこで止まるため、燃料が熱を出し続ける原子力発電よりも安全で、火力発電のようにCO2も出さない。しかも燃料の三重水素(トリチウム)は海水から取り出せます」
原子力発電並みに効率よく莫大な電力を生み出し、燃料の資源も豊富で、しかも安全でクリーン。まさに夢の次世代エネルギー。その開発において、世界の最先端を行っているのが日本なのだという。
「核融合反応を起こすために用いられているのが“磁場閉じ込め方式”。つまり磁場を調整して核融合が絶えないようにする仕組みなんですが、これには高出力だけど制御が難しい“トカマク型”と出力は低いけれど制御が比較的簡易な“ヘリカル型”があって、後者の実用に向けた世界最先端企業が日本の『ヘリカルフュージョン社』、それに必要な高温超電導線材を世界に先駆けて開発したのが同じく日本の『フジクラ』です。つまり日本は、核融合発電の素材と装置の部分で世界をリードしていると言えます」
ただし、この核融合発電の実用化へのハードルは相当高いのが現実。
「核融合反応を維持するために必要な、磁場の制御装置や、高温に連続して耐えられる安全性の高い原子炉の開発自体が、かなり技術的に困難だというのが現実。できたとしても、その設備を建設するのには莫大なコストがかかります。2027年に最終実証が始まるという話がありますが、現実的には2030年くらいから少し話題になって、実用化は早くて2050年くらい、30年は先だと思います」