■悲劇を加速させる巧妙演出
X上では、《ともさん、決して首を縦に振らないのに、万丸を人質に差し出すのを受け入れるしかなくて涙するの辛かった…宮澤エマの涙するシーンには身につまされてグッとくる》《ともの「なんで万丸じゃなければならないの?」すごく分かる。同意できないよ…エマさん良い演技する》など、宮澤(とも)への多くの称賛の声が。
この切なさは、万丸がのちの秀次で、叔父である秀吉(池松)の養子となるも、側室・茶々との間に秀頼が誕生したことで、秀吉から切腹を言い渡されるという、悲しい最期が待っているため。万丸誕生の幸せなエピソードもしっかり描いていたが、先に待っている悲劇の伏線と考えると、穏やかには見ていられない。
同じく光秀(要)の、足利義昭(尾上右近/33)と信長(小栗)の間で引き裂かれる感情も、本能寺の変への見事な伏線となっている。大河ドラマは登場人物が多く、次々に事態が動いていく中、どのシーンをピックアップするかが重要となる。その点、本作はすべてが後で効いてくるようエピソードが描かれていて、見事だ。
史実を改変し、マンガ的な面白さが評判になっている本作。ただ、その面白さも、事前の描写でしっかり“ため”を作っているからこそだろう。次回はいよいよ小谷城の攻防が描かれる。これも長政(中島)と市(宮﨑あおい/40)、さらに信長との関係をしっかりと描いてきたため、その悲しさは倍増で響いていくるに違いない。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。