■「とりあえず」ではなく「この人だから」

 同時に、情報を精査する学生側の動きも高度化。現在の就活生は、AIで候補を絞り込んだ後、TikTokなどの短尺動画でオフィスの空気感を直感的に判断し、さらに最後は口コミサイトで選考の誠実さを確認するという、いわゆる「トリプル検索」を徹底しています。このプロセスにおいて、AIにはマッチングの正確さを、動画には飾らない日常を、実態の裏付けには口コミを求めるという、多角的な「答え合わせ」が行われているのです。もはや、就職ナビサイトに定型文を載せるだけの時代は終わりを告げたと見るべきでしょう。

「就活のAI化が進んだ結果、皮肉にも企業にとっては『人間性を見抜くこと』こそが、採用の成否を分ける最大のポイントになっています。AIを駆使して効率よく候補者を募る一方で、最後は対面で泥臭くその本質を見極める。このデジタルとアナログの『両輪』を回すことが、これからの採用戦略におけるスタンダードになっていくでしょう」(ビジネス誌編集者)

 AIが選考を効率化する今、企業に求められるのは「とりあえず」ではなく「この人だから」出会える採用です。企業も学生も、この本質に向き合うことが、これからの就活をより意味あるものに変えていくはずです。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。