■誰にも思い入れできない『風、薫る』
みんなで寮生活する展開から、17年の朝ドラ『ひよっこ』の「乙女寮」パターンかと思いきや、木曜日になっても打ち解けることなく、ツンキャラが直美(上坂)と多江(生田)でかぶっているうえ、りん(見上)を含めた4人が天然系。年上の喜代(菊池)がまとめると思いきや、なにもせず、ひたすら険悪な空気が漂い続けていた。
ようやく金曜日に、「observe」は「観察」と解釈するとりんが告げたことでナイチンゲールの言葉を理解でき、7人がまとまってきたが、ギクシャクした感は否めない。『ひよっこ』もいろいろな立場の女性でガチャガチャしてたが、それぞれの個性を発揮しつつまとまっていくのが楽しかった。本作は、7人のキャラは個性的なのだが、その個性を一方的に主張するばかりで、剣呑な空気が感じられるだけ。
ほかのキャラも同様で、りんの母・美津(水野美紀/51)がいきなり「瑞穂屋」で働き出すが、りんが看護婦養成所に入ることが決まってから4か月もあったのに、なにをしていたのか? 武家育ちという世間を知らない設定だから仕方ないとしても、妹・安(早坂美海/19)も、ただいるだけの空気になっているのは謎だ。
また、「瑞穂屋」店主・卯三郎(坂東彌十郎/69)は、東京編でのキーパーソンかと思いきや、今週はほとんど姿を見せず、《いつもリターンリターンいう割には何も要求しない卯三郎も意味が分からない》というツッコミも。今のところ、どのキャラにも思い入れできない状態になっているのだ。
これは要するに、物語を引っ張るキャラがいないのだ。今のところ、その役目を果たしているのは大山捨松(多部未華子/37)だけだが、陸軍大臣の妻という立場もあり、頻繁に出てくるわけにいかない。そんな状態の中、ほかの面々が勝手に動いているだけなので、物語が迷走してしまい、これでは視聴率の数字も上がるはずがない。
今週のラストで、ようやく看護指導の教師・バーンズ(エマ・ハワード)がスコットランドから到着した。次週、授業が始まって生徒同士が打ち解ければ、このガチャガチャした流れも変わるかもしれない。それぞれの生徒たちが抱えている問題も描かれていくようで、これからの展開に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)