教科書には載っていない“本当の歴史”――歴史研究家・跡部蛮が一級史料をもとに、日本人の9割が知らない偉人たちの裏の顔を明かす!

 南北朝時代の流行語に「バサラ(婆娑羅)」がある。人目を驚かす服装で飾りたてることや常識にとらわれない行動を指し、佐々木道誉(ささき・どうよ)(俗名・高氏(たかうじ))が、この言葉を体現した代表的な武将として知られる。

 足利尊氏に挙兵時からつき従い、後の室町幕府創業に貢献。尊氏・直義兄弟の内訌である観応の擾乱(じょうらん)(1350~52年)で一時的に尊氏と対立したものの、それは直義を欺くために尊氏と謀った策略だとされる。

 しかも、『観応二年日次(ひなみ)記』によると、その内訌の最中、敵方の南朝から尊氏・義詮父子と直義を「追討せよ」という綸旨を賜るのだ。

 これもまた、直義を討つために道誉が仕組んだ策略だという説があり、最終的に追い込まれた直義は毒殺されるが、綸旨の話が事実だとすると、敵方の南朝も、それだけ道誉を重要な人物とみていた証しであろう。