「父さん、最近付き合っている人がいるんだよ」
外資系金融機関に勤める野村由香さん(28・仮名/東京都)の父は63歳。母は5年前に亡くなり、同じ都内ながら離れて暮らす父も新卒から勤め上げた大手出版社を定年退職。現在は嘱託社員として働いている。空いた時間で登山にドライブにと、趣味を楽しんでいるようだった父だが、最近その身に“異変”が起きて――。
由香さんが、父の”変化“を口にする。
「父はマッチングアプリをやっていたんです。アプリは、結婚歴がない人はもちろん、妻に先立たれたり、離婚歴があったりと60代の人も結構やっているようで、会社の同僚がやっているというのを聞いて興味を持ったらしいです。それで、53歳の女性とマッチしたんだそうです。父なりに、あまりにも年下ではなく、50代ぐらいの方のほうが話も合うのではないかと考えて、条件を設定したら結構な人数の方とマッチング。そのなかで何度かデートを重ね、気が合ったのがその女性という話でした」
ちょうど10歳年下の女性との交際にこぎつけた父。「そういえば最近、明らかに服装に気を使うようになり、会うといつも整髪剤をつけているのが気になっていた」と、由香さんは振り返る。
「父は、娘の私から見ても昔はイケイケだったんだろうなあという感じで、今も筋トレを欠かさず、体型もシュッとしています。ファッション誌関係の広告仕事をしていたこともあり、現役時代はダブルのスーツを好んで着ていた父ですが、定年退職してからはオシャレの必要もないからか、会う時はTシャツやパーカーみたいな格好ばかりでした。それが、最近はカジュアルなジャケット姿で、やたらと日中に出かけているようなんです。出かけた先からいろんな自撮りを送ってくるので分かるんです。
先日は、LINEでアフタヌーンティーに行ったことがあるかと父に聞かれて……。しかもその後、どこそこのアフタヌーンティーはどんな内容で、どんな雰囲気だったとかやたら語ってくるんです。あとから聞くと、その女性とのデートだったみたい。表参道のアフタヌーンティーに2人で行ったという写真を見せられました」
父が嬉しそうにしているのは喜ばしい話かと思いきや、由香さんは不快感を隠さない。
「その女性の素性を私が全部わかっているかというと、もちろんそうではないとは思います。父は早稲田大学を卒業して大手出版社勤務と、経歴だけみたら結構華やかで、お金も持ってそうに見えるんですよ。実際、豪華とまではいわずとも23区内にある実家のマンションのローンは支払い終えていますし、車も一応ベンツ。どうしても、父の彼女が遺産狙いかなあと思ってしまう自分がいるんです……。このままだとマンションも後妻の物になるかもしれないですし、父が亡くなったら生命保険金はその人の懐に入るのかと、なんとなくモヤモヤします」