衆院和歌山1区の補欠選挙に関連して、市内にある雑賀崎漁港を岸田文雄首相(65)が訪れたのは4月15日のことである。その彼を狙って爆発物が投げ込まれたのは、首相が地元の漁港で揚がったエビを試食し、街頭演説へと向かう前のことだった。

 金属製の爆発物を岸田首相に向けて投げ込んだとして、その場で首相の警護に当たるSPや和歌山県警の警察官に取り押さえられたのは木村隆二容疑者(24)だ。全国紙社会部記者が語る。

「その場で公務執行妨害罪で逮捕されました。木村容疑者の手荷物からは刃渡り13センチの果物ナイフも見つかっており、岸田総理に対して殺意を抱いていたのは明白です。警察の取り調べには黙秘を貫いています」

 そんな木村容疑者は、国を相手取った国家賠償請求訴訟を2022年6月に神戸地裁で起こしていたのだ。

“原告 木村隆二”、“被告 国”と記され、昨年11月に判決が言い渡された本裁判の判決文を読み解くと国家を相手取って“10万円”を要求した木村の主張が事細かに記載されている。

 彼の主張をまとめると以下の2点に集約される。

 1点目は参議院議員選挙に立候補をするための被選挙権は、30歳以上と公職選挙法で定められているが、これが憲法に違法しているのではないか、というもの。

 2点目は、立候補に際して法務局へと預ける供託金のシステムが、1点目と同じく憲法に反するのではないかというのだ。

 逮捕時の木村は無職だったわけだが、この国を相手取った訴訟から考えると、“若くて貧乏な自分にも国政の場に出るチャンスを与えろ”と主張していたということか。