■「安倍はカルト団体と癒着」まるで、山上徹也「木村隆二」裁判記録

 先の判決文内で木村容疑者は、「国会議員がこの制度を是正することなく放置している」、「これにより第26回参議院議員通常選挙(2022年7月10日投開票)に(自身が)立候補できなかった」と主張するのだから、現行の選挙制度に相当な不満を抱いていたことが推察される。現にこの裁判内で木村は驚くべき発言を繰り返す。

「岸田内閣は故安倍晋三の国葬を世論の反対多数の中で議会での審理を経ずに閣議決定のみで強行した」

 と述べ、その判断を「民主主義への挑戦は許されるべきではない」と強く批判する。それに続くのは、

「政治家が国民のために存在しないに至ったのは制限選挙を続けてきたからであり、既存政治家がそれによって当選する仕組みを作り上げたからである」

 とまで言うのだから、やはり政治への不信感をつのらせていたのは明らかだ。

 裁判では、岸田首相が国葬を“強行”したと木村が感じた安倍晋三元首相についても触れている。安倍元首相に関しては、

「故安倍晋三のような既存政治家が、政治家であり続けられたのは、旧統一教会のようなカルト団体、組織票を持つ団体と癒着していたから」

 と糾弾し、まるで、旧統一教会へ自身の家庭が多額の献金をしていたことで組織への恨みを重ね、教団と深い関係にあるとして昨夏、安倍元首相を銃撃した山上徹也被告を思わせる発言も残している。

 判決文を読み進めると、木村容疑者のさらなる“主張”が見受けられる。

 そこでは、「立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にある」とされる。要は、満30歳以上の成人にしか認められていない参議院議員選挙の被選挙権を選挙権が与えられている18歳以上の成人にまで引き下げろというわけだ。