■WBCの呪いに悩む侍投手陣
阪神と同じく中継ぎ陣が不調なのが中日だ。松山晋也(25)&清水達也(26)の不在が非常に大きい。WBCドミニカ代表唯一の“NPB勢”だったアブレウ(30)も、開幕戦でギックリ腰を発症して以来、抹消されたきり。
井上一樹監督とは同学年の野口寿浩氏が言う。
「大塚晶文巡回コーチに続き、ここへきて落合英二・2軍投手コーディネータ―も、スコアラー兼マネージャーの肩書きでベンチ入り。
当の井上監督は“3人より4人の知恵”と言いますが、本来のコーチである山井大介や浅尾拓也は、年長の2人に、当然、遠慮もする。相当やりづらいのでは」
では、そんな“迷走”とも取れる井上監督の監督力こそが“戦犯”なのか。
「同じく故障者の多いヤクルトが好調なせいで、中日が悪目立ちしていますが、岡林勇希(24)のような“替えの利かない選手”の離脱が大きい。仮に長岡秀樹(24)が不在ならヤクルトもあれほどの勢いは出ていないでしょう」(前同)
他方、パ・リーグは、侍ジャパンの投手陣に“WBCの呪い”が直撃中。
左肘の靭帯損傷で今季絶望のオリックス・宮城大弥(24)に続き、4月25日のソフトバンク戦では、ロッテ・種市篤暉(27)が打球処理でアキレス腱を断裂。“2強”の一角と目された新庄剛志監督の日本ハムも、伊藤大海(28)&北山亘基(27)らの不調が痛い。
「代表入りは、昨季のフル回転があってこそ。特に投手陣の場合は、WBCを見据えて動き出しを早めた結果、本来必要だった休息が十分に取れなかった可能性はある。宮城の故障も、それと無関係ではない」(同)
実際、試合には出続けているものの、ソフトバンク・松本裕樹(30)や、西武・隅田知一郎(26)あたりも絶好調とは言い難い。
ハムの場合は、そこに輪をかけて、6年ぶりに古巣復帰の“優勝請負人”有原航平(33)までもが絶不調なのだから始末が悪い。
「ただ、その日本ハムも伊藤&北山は復調傾向で、底は脱している。あとは打線がつながりだせば、自然と上には行くでしょう。
もっとも、ソフトバンクは、やはり強い。抑えの杉山一樹(28)が骨折しても、木村光(25)のような代役がすでに出てきていますしね」(同)
結局、日本シリーズは阪神VSソフトバンクになるのか、それともヤクルトや日ハムが待ったをかけるのか、まだまだ戦いは始まったばかりだ。
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藪恵壹(やぶ・けいいち)
三重県南牟婁郡御浜町出身の元プロ野球選手(投手)・コーチ、解説者・評論家・YouTuber。NPBでは1994年から2004年に阪神タイガース、2010年に東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーし、阪神時代の1994年にはセントラル・リーグの新人王を獲得、2003年にはチームのセ・リーグ優勝に貢献した。NPBにおける通算成績は279登板、84勝106敗、防御率3.58。またMLBではオークランド・アスレチックスとサンフランシスコ・ジャイアンツでプレーし、実働2年間で100試合に登板した。
野口寿浩(のぐち・としひろ)
1971年生まれ、千葉県出身。習志野高時代に高校通算11本塁打を記録し、89年オフにドラフト外でヤクルトスワローズに入団。98年に日本ハムファイターズへ交換トレードで移籍し、監督推薦でオールスターに初選出。99年には正捕手として130試合に出場。翌年には最高打率.298を残し、得点圏打率もリーグトップで、「ビッグバン打線の恐怖の8番」と恐れられた。捕手としても盗塁阻止率.423を記録し、二度目のオールスターゲーム出場。03年にはトレードで阪神タイガースに移籍し、翌年10月4日の広島戦では井川慶とバッテリーを組んでノーヒットノーランを達成した。08年には再取得したFA権を行使し、横浜ベイスターズへ移籍。引退後は、17年にヤクルト2軍バッテリーコーチ、18年は1軍バッテリーコーチを務めた。