■中国は日本近海にも機雷を仕掛ける

 封鎖されれば日本は、かつてない食糧危機に陥る。農林水産省の元幹部で、武蔵野大学国際総合研究所の研究主幹・山下一仁氏は、こう言う。

「現在、日本は、カロリーベースの食料自給率がわずか38%です。海外からの輸入食料に頼っていますし、食料だけでなく石油の輸入も止まれば、農業機械や肥料・農薬が使えず、国内生産も大打撃を受けます。

 飼料穀物が輸入できなければ、日本の畜産はほぼ壊滅し、肉や卵、牛乳なども食べられなくなります」

 さらに、こんな衝撃的な試算もある。

「最低限の食料として現在の人口1億2300万人に、第2次大戦中の1人1日当たり2合3勺(約330グラム)の米を配給するには、年間1600万トンの玄米が必要になります。

 しかし、減反で2025年の米生産は779万トンと半分以下です」(前同)

 結果、国内で米の奪い合いが起きるというのだ。

「米価格は高騰し、資力のある人たちだけが食べられます。米を買えない6000万人もの人が餓死の危機に瀕してしまうんです」(同)

 前出の浜田和幸氏も、同様の懸念を示す。

「政府のコメ備蓄は100万トン程度です。国民1人当たりに換算すると1か月分にも満たない量なので、すぐに底を尽きます」

 台湾海峡が封鎖された場合、フィリピン東側を迂回するルートも考えられるが、中国が第二列島戦まで進出すればそれもかなわない。

「台湾有事の際に、中国が日本近海に機雷を仕掛けたら、アメリカからの貨物船も近づけないでしょう。小麦や牛肉などの農産物も輸入されなくなるんです」(前出の山下氏)

 これは、けっして遠い未来の話ではない。

「中国の習近平総書記は、3期目が満了となる27年までに台湾統一を成し遂げることを至上命題に掲げています。国内経済が傾く中、台湾統一という国家の夢を果たし、国民の支持を取り戻したい。それに、アメリカが多くの戦力をイラン攻撃に費やしている今こそ、中国にとっては絶好の局面なのです」(浜田氏)

 地獄のXデーがすぐそこに迫っている。

浜田和幸(はまだ・かずゆき)
国際政治経済学者。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所(CSIS)、米議会調査局(CRS)等を経て、参議院議員に当選。総務大臣・外務大臣政務官を歴任。『ヘッジファンド』など60冊を超えるベストセラー作家。著作の多くは中国、韓国、ベトナムなど海外で翻訳出版されている。創作漢字アーティストとしても活躍中。

山下一仁(やました・かずひと)
1955年、岡山県生まれ。77年に東京大学法学部を卒業し、農林省入省。82年にミシガン大学応用経済学修士、行政学修士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、同次長などを歴任。2005年、東京大学農学博士。08年に農林水産省を退職。『農業ビッグバンの経済学』、『日本農業は世界に勝てる』(ともに日本経済新聞出版社)、『食の安全と貿易』(日本評論社)、『国民と消費者重視の農政改革』(東洋経済新報社)など著書多数。