■新要素“妨害者”導入の『逃走中』が他局を圧倒
前出の制作会社関係者が続ける。
「視聴者だけでなく出演者も誰が妨害者なのかわからない状態で番組が進行し、“ハンターから逃げられるか”に加えて、逃げているタレントも視聴者もずっとドキドキしている状態――サスペンスドラマや人狼ゲーム的な楽しみ方もできたんです。今回の『逃走中』は大好評で視聴率も良かったですから、次回以降も妨害者システムは取り入れられるのではないでしょうか。
そんな『逃走中』といえば、一連の“フジテレビ問題”でもう制作することはできないのではないか、と危惧された番組でもあるんです。そんな番組が、今やフジテレビの救世主になるのではないか、とも話されているといいますね」
2004年にスタートした不定期特番『逃走中』は毎年3~4回放送されてきた。子どもたちを中心に人気を獲得し、2022年に元日3時間SPが放送されて以降は元日や大晦日が定位置だったものの、今年は1月4日に『逃走中2026 新春SP』として放送された。
「『逃走中』の制作がもう難しいのでは――と言われた理由は、制作費です。『逃走中』は作るのにもの凄いお金がかかるんですよね。
大規模ロケが必要で、ロケ地の確保や大勢のスタッフの人件費、長い時間拘束する多くのタレントの出演料、そこには“目玉”となるような名のあるギャラの高い人のキャスティングもあるし、ハンターの人数も回によっては100人に上ることもあるなど、莫大な予算がかかっている番組です。まだイケイケだったピーク時には、制作費が1億円にも及んだことがあったというぐらいです。
テレビ不況で近年は制作費が減っていたでしょうが、最近でも5000万円以上かかっていたのではないかと言われています。しかし、フジテレビでは昨年の問題で多くのスポンサーが撤退。現在は戻りつつありますが、報道・ドラマ・バラエティ……全部門で制作費が大幅カットになりましたからね。
そういった事情から“フジテレビ問題”勃発後、『逃走中』の新作はもう制作されないのではないか、と関係者の間で言われたんですよね」(前同)
25年10月、本サイトが『逃走中』の“今後”についてフジテレビに問い合わせたところ、《詳細についてはお答えしておりませんが、次回放送に向け準備を進めています。放送日時発表までお待ちください》と番組を存続させるという回答があった。
「予算がかけられない分、創意工夫を凝らして新作を制作することになったんでしょうね。その結果、妨害者という新要素が追加され、番組はより面白くなったと。そして今回の『逃走中』は2週に分けて放送されたのですが、それも予算を節約するためのものだったのではと。別の特番を2本作るより、長い1本を2つに割る方が圧倒的にコスパはいいですからね」(同)
視聴者からの高評価に加え、視聴率も良く、5月2日放送回のコア視聴率(テレビ各局が重視する13~49歳の個人視聴率)は4.1%(すべてビデオリサーチ調べ、関東地区)、9日のコア視聴率は4.2%だった。
「土曜22時には高い視聴率を誇る安住紳一郎アナウンサーがMCを務める『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)がありますが、2日の同番組のコア視聴率は2.1%で、『逃走中』が圧勝。『Nキャス』以外も圧倒し、5月2日と9日、『逃走中』が横並びでぶっちぎり1位のコア視聴率だったんです。最近は、フジテレビが視聴率で他局を圧倒することは滅多にありません。それだけ『逃走中』は若年層を中心に見られていたということですね。
フジの番組では『新しいカギ』や『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』も子どもたちに人気ですが、その中でも『逃走中』は特に子どもに愛され、求められているコンテンツと言えるでしょう。それが、今回の“妨害者システム”でより強化されたと言えそうですね」(同)
多くのアナウンサーや敏腕制作マンの退社報道が相次ぎ、明るい話題の少なかったフジテレビにあって『逃走中』の好結果は、希望の兆しとなりそうだ。