日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回は、令和の社会において、改めて注目を集めている“平成文化”に注目した。
最近、「平成」を冠した展示会が、全国の百貨店やミュージアムで関心を集めています。今年4月に六本木ミュージアムで開催された「平成恋愛展」をはじめ、昨年話題となった「平成ときめき展」や西武渋谷店の「NEO平成レトロ展」など、あの頃をテーマにしたイベントが世代を超えて支持されているんです。
展示の様子を報じる写真からは、当時の日常を切り取ったアイテムが所狭しと並び、訪れた人々を当時の空気感へと引き込んでいる様子が窺えます。
展示の目玉となっているのは、重厚な辞書のようなカラオケの歌本や、今や絶滅した通信端末であるウィルコムのPHS。音楽鑑賞に欠かせなかったカセットテープやMDも、当時の音楽文化を語る上で外せない存在です。さらには、ポケベル、プリクラ帳、交換日記といった通信や学校生活に関わるグッズも並びます。
授業中の回し手紙に書き込まれたメッセージをのぞいたりするなど、記憶を揺さぶる体験も充実。人気ゲーム『どこでもいっしょ』の「井上トロ」キーホルダー、『だんご3兄弟』のCD、タブレット菓子『ピンキー』のキャラクターぬいぐるみなど、ヒットした品々も勢ぞろいしており、これらが当時の空気感をそのままに蘇らせるんです。
当時の品々を前に、懐かしさで胸を熱くする世代とアナログな手触りに新鮮な興味を抱く若い世代が交わる。世代を超えて対話が自然と生まれるその様子は、本展が回顧イベントという枠組みを大きく超えた特別な空間となっている何よりの証左でしょう。