日本競馬界のレジェンド・武豊が名勝負の舞台裏を明かすコラム。5月24日のGI・オークスではアランカールに騎乗予定の、彼のここでしか読めない勝負師の哲学に迫ろう。
(以下の内容は2026年5月18日に寄稿されたものです)
馬が好きで、馬に乗るのも大好きで、日本の競馬を愛してくれたミルコ(デムーロ騎手)が、何かを変えようとアメリカ西海岸サンタアニタに拠点を移したのは、昨年夏のことでした。
世界の名手が集まる西海岸で勝つことはもちろん、騎乗馬を確保するのが、どれほど大変なことか。2000年、ワクワクするような気持ちで戦うフィールドを日本から西海岸に移し、戦った経験がある僕には、よく分かります。
その競馬激戦区で、重賞4勝を含む42個の白星を積み重ねたミルコが、「大好き!」という日本の競馬に復帰しました。
僕は東京競馬に参戦していたので、モニター観戦でしたが、復帰後10戦目となる5月9日京都7RでV!スタンドからの声援に、「まるでGIを勝ったみたい。嬉しい!」と、いつもの人懐こい笑顔で応えていました。
おかえり、ミルコ。そして、おめでとう!
ゴールデンウィークの真っただ中、5月3日の天皇賞(春)からスタートした7週連続のGIウィークも、5月24日のオークスから後半戦に突入。ミルコに負けないように、僕も全力騎乗で臨みます。
牝馬三冠の第2弾、第87回オークスで僕がコンビを組むのは、斉藤崇史厩舎のアランカール。2016年のチューリップ賞を制し、桜花賞2着、オークス1着と春の主役となったシンハライトの産駒です。
僕が彼女と初めてコンビを組んだのは、GIIチューリップ賞でした。
このときは、先行勢が作ったスローペースに巻き込まれ、クビ差、クビ差の3着。結果は満足できるものではありませんが、桜花賞への優先出走権を確保したことも含め、次につながるレース……いえ、次につながなければいけないレースでした。