■資産形成のポイント
――新入社員が自身のお金を管理する上で大切な点はどこになるでしょうか。毎月支給される給与明細などを見る際にポイントはありますか。
新入社員がお金を管理するうえで最も大切なのは、「額面がいくらか」ではなく、「実際に自由に使える手取りがいくら残るのか」を把握することです。
社会人1年目は初任給の金額に目が向きがちですが、実際の生活は手取り額の中で成り立ちます。給与明細では、まず総支給額、控除額、差引支給額の3つを毎月確認する習慣をつけることが重要です。特に健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税などは毎月差し引かれるため、「思ったより手元に残らない」と感じる人は少なくありません。
そのうえで、新入社員が特に見ておきたいのは、「どの手当が手取りにどう影響しているか」という点です。たとえば住宅手当は一見ありがたい制度ですが、原則として給与所得に含まれるため課税対象です。一方、通勤手当は一定額まで非課税とされています。
つまり、同じ“手当”でもそのまま使えるお金とは限らず、額面だけで家計を考えると見込み違いが起こりやすくなります。また、厚生年金などの社会保険料は、基本給だけでなく通勤手当、住宅手当、残業手当などを含めた報酬をもとに決まるため、手当が増えればそのぶん保険料負担も変わる可能性があります。
また、収入が上がると支出も上がる「生活水準の上昇」は自然に起きます。 これを防ぐには、給料が入った時点で自動的に貯蓄・積立に回す 仕組み化が不可欠です。この習慣を社会人1年目から持てるかどうかで、将来の資産形成には大きな差が生まれます。
【記事前編】では東京での生活に苦しむ新入社員の生活実態や家計を運営する上で意識すべきポイントを宮岡秀峰氏が解説する。《【前編】はこちらから》
宮岡秀峰(みやおか・しゅうほう)
公認会計士、税理士、行政書士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)。税理士法人アクシア代表社員、アクシア公認会計士事務所代表。公認会計士として会計・財務の視点から中小企業支援に取り組むほか、相続・事業承継分野にも幅広く携わる。講演や税務相談の実績も豊富で、会計・税務分野の書籍共著、雑誌寄稿も行なっている。
税理士法人アクシア 公式HP:https://axia.or.jp/