■キャストドリンクはプロテイン
普通のガールズバーとさらに大きく違うのが、キャストドリンクの中身だ。ガールズバーでは客がキャストに酒を入れるのが定番だが、
「うちのメニューには“プロテイン”や“BCAA”があります。お客さんは『もっと体を大きくしなよ』と言ってキャストにプロテインをくれますよ。普通の店ならお酒を飲まないと許されないと思いますが、マッチョの子も働きやすいし、お客さんも面白がるので、win-winだと思います」(前出の古山氏)
キャストドリンクはオール1000円とかなり良心的。これなら客も、気兼ねなくキャストの筋肉を育てられるだろう。大盛況を見せる「マッスルガールズ」だが、客層をよく見てみると、これまた他店とは違う景色がある。
「もちろん男性客もいますが、マッチョな女性を見たいという女性の方も来ます。家族連れの方や、80代のおばあちゃんまで、本当に幅広く来ていただいています」(前同)
ガールズバーに馴染みのない層まで来店する理由は、メディア出演の多さと、系列店の「マッスルCLUB」が運営する子供食堂の存在が影響しているという。だが、最大の理由は、古山氏が掲げるあるビジョンにあった。
「私たちは、“夜直し”を目指しているんです」(同)
”夜直し”とは、一体何か? 「マッスルガールズ」のシステムにそのヒントがあった。
「うちは指名料、同伴料、アフター料を一切取っていません。夜のお店のイメージがつくようなことはやらないようにしています」(同)
最近では、ガールズバーであってもキャバクラと同じように指名や同伴を行う店がほとんどだ。指名や同伴を重ねることで、キャストと客の間に恋愛感情が芽生えるケースもあるだろう。ただ、その大半は一方通行。それも、客からの片思いで終始する場合が多い。
「うちのお店は、色恋や枕を全部禁止。発覚した場合はクビにします」(同)
そこまで徹底する理由は、古山氏自身が夜の業界に対して抱いてきた違和感にある。
「夜のイメージって、基本的によくないと思うんです。飲み歩いている時にキャッチから“キャバどうですか?”って声かけられるのは嫌じゃないですか。ホストやニュークラブで色恋をかけられて、お金がなくなっちゃった人も何人も見ています。水商売は、本当は楽しむ娯楽の場所なのに、自分を追い込んで苦しんじゃう人が多いんです」(同)
色恋に発展しなかったとしても、不透明な料金体系によって客が困惑するケースもある。
そうした業界のイメージを打開するべく、「マッスルガールズ」は“健全な夜遊び”を目指しているのだ。
今後は、渋谷・道玄坂にある「マッスルCLUB渋谷店」の近くで「マッスルガールズ」の出店も検討しているという。「マッスルCLUB」含めエリアを拡大する予定だというが、目先の利益が全てではないと古山氏は話す。
「ただ店舗数を出せばいいとは思っていません。店舗数が多くなっても、一店舗あたりのクオリティが下がったら意味がありません。まずは一店舗ずつのクオリティを上げて顧客満足度をしっかり取る。その上で、徐々に広げていけたらいいなと思っています」
酒ではなくプロテインを入れ、色恋ではなく筋肉で夜を盛り上げる。三大歓楽街・すすきのに現れた「マッスルガールズ」は、単なる珍店ではなかった。新たな観光名所になる可能性を秘めた”超健全な熱気”を、一度体感してみてはいかがだろうか。
マッスルガールズ 札幌すすきの店
5月1日にニューススキノビル最上階にオープン。10名ほどのキャストは皆、筋肉自慢ばかりだ。