この国において“勝ち組の証し”と、もてはやされてきたタワーマンション。今、その神話が音を立てて崩れ始めているのだという──。

「令和6年6月に国土交通省の住宅局が発表した調査結果(339件を対象)によれば、新築時に修繕にまつわる積立費用に“段階増額積立方式”を採用したタワマンの多くで“計画当初から最終計画年までの積立額が“平均4.1倍”になっている実態が明らかになりました。タワマン住民ももちろんですが、投資用にマンションを購入した人たちからも悲鳴が上がっています」(不動産関係者)

 この言葉を裏付けるように、すでに湾岸エリアのタワマン市場では“売り逃げ”を図るオーナーが急増しているという動きも出ているという。

『限界のタワーマンション』(集英社新書)などの著書を持つ住宅ジャーナリストの榊淳司氏は「タワマンに対する世間の見方も“憧れ”から“警戒”へとシフトしている」と、苦い表情で語る。

 そもそも、先の4.1倍に膨れ上がった“タワマン修繕費問題”とは、いったいどういう現象なのか。

「マンションを購入すると、管理費と修繕積立金が別々にかかることになる。管理費というのは清掃や警備や共有部分の電気代などにかかる費用。ほとんどは管理会社の売り上げになります。一方、修繕積立費は建物が古くなったときに直すためのお金。これは管理組合の口座に積み立てられていくのが一般的なんですね」(榊氏=以下同)

 近年のタワマンは管理費よりも修繕積立金のほうが高くなるケースが珍しくない。そこに来て昨今の中東危機が重なり、工事費が急激に上がっているという。

「建築資材は石油由来のものが非常に多い。接着剤、コーキング剤、塗料……全部そうです。しかも建築業界は慢性的な人材不足に苦しんでいるから、三井不動産や三菱地所みたいな大手ですら、工期を守れなくなっている。それくらい現場が逼迫しているんです。たとえ今すぐホルムズ海峡が完全開放されたとしても、その影響は最低でも半年は残る。原油を積んだ船が現地を出て日本に帰ってくるだけで60日かかりますから」