■菅野も松井も雄星も大記録へ

 タイトルを奪取するには、その大谷を超える活躍が絶対条件となるナ・リーグでは、WBC辞退で調整に専念したカブス・今永昇太(32)が快調だ。

「すでに4勝を挙げて、防御率&奪三振は、ともにランキングのトップ10入り。奪三振では、率にして14点台という異次元の数字を叩きだすJ・ミジオロウスキー(24/ブルワーズ)が現時点ではトップを独走も、何が起きるか分からない。奪三振王も最優秀防御率も、まだまだチャンスがあるはず」(大リーグ担当記者)

 前出の藪恵壹氏は今永の契約内容を踏まえて、こう言う。

「昨オフにQO(クオリファイング・オファー)を受託して1年契約で残留した今永は、さらなる好条件で他に移るためにも今季が頑張り時。向こうはあくまで野球もビジネス。

 移籍できずに来季も残留となったら、どうしたってホームタウン・ディスカウントはされるものだしね」

 他方、昨季のワールドシリーズでMVPに輝いたドジャース・山本由伸(27)は、序盤で失点する場面も目立つ。防御率も3点台と“らしさ”は欠く。

「同僚でライバルの大谷が、打者として復調してくれば、山本自身も乗っていけるはず。先のサイ・ヤング賞模擬投票は5位につけていますし」(大リーグ担当記者)

 前出の福島良一氏は、その活躍に太鼓判を押す。

「大谷と同様、打線の援護に恵まれない登板が続いていますが、QS率は大谷と同じく、ほぼ100%と申し分ない。現状でも自身初となる2年連続の2ケタ勝利はもちろん、昨季の12勝を超える勝ち星も十分期待できると思います」

 また、ロッキーズで奮闘中の菅野智之(36)は、日米通算150勝を達成。

 先頃、戦列に復帰したパドレス・松井裕樹(30)も史上最年少での日米通算250セーブまで、あと13(5月19日時点)と迫るが、最速167キロの豪腕M・ミラー(27)が抑えに君臨している現状では、こちらは、やや厳しいか。

「他にエンゼルス・菊池雄星(34)は、節目のメジャー通算50勝まで、あと2勝ですが、29日の登板で左肩を痛めてIL入り。手術こそ回避も、先行きは不透明です」(大リーグ担当記者)

 今季、これほどまでに日本人選手が金字塔を打ち立てようとしている。

「やはり注目は日本人初のサイ・ヤング賞を獲得できるか。ドジャースのマックス・マンシー(35)は“僕は大谷にサイ・ヤング賞級に他ならない活躍を期待している”と語っています」

 伝説を目撃するのは、今年か。

 

【前編】村上宗隆&岡本和真の「新人王」争いに全米も大注目 侍メジャーリーガーが今季達成する“日の丸金字塔”全リストでは、大リーグ経験者の藪恵壹氏が、村上宗隆の快進撃を「日米の野球文化の違い」という視点で徹底解説。岡本和真が、村上やジャッジに並んで打点王争いに割って入る可能性なども詳報している。《【前編】はこちらから》

福島良一(ふくしま・よしかず)
スポーツジャーナリスト、メジャーリーグアナリスト。千葉県出身。学習院高等科、中央大学商学部卒業。大学在学中から主としてメジャーリーグの評論・取材を行っている。主な著書に『日本人メジャーリーガー成功の法則 田中将大の挑戦』(双葉社)『もっと知りたい!大谷翔平 SHO-TIME観戦ガイド』(小学館)など。

藪恵壹(やぶ・けいいち)
三重県南牟婁郡御浜町出身の元プロ野球選手(投手)・コーチ、解説者・評論家・YouTuber。NPBでは1994年から2004年に阪神タイガース、2010年に東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーし、阪神時代の1994年にはセントラル・リーグの新人王を獲得、2003年にはチームのセ・リーグ優勝に貢献した。NPBにおける通算成績は279登板、84勝106敗、防御率3.58。またMLBではオークランド・アスレチックスとサンフランシスコ・ジャイアンツでプレーし、実働2年間で100試合に登板した。