■メジャーの速球にも対応できる構え
NPB4球団で打撃コーチを歴任した伊勢孝夫氏は、「去年までとは構えが違う」と、次のように指摘する。
「バットを少し寝かせているし、始動で右足を上げない。要はメジャー仕様です。
向こうでは150キロ以上のシンカーやカットボールを投げる投手が多い。スライダーでも140キロ台だし、シンカーも真っすぐとあまり球速が変わらない。そういう速く変化する球に対応できるようにした構えが、奏功しているんでしょう」
さらに伊勢氏が注目するのは打球方向の変化だ。
「外角の球を強引に引っ張らず、逆方向へ打てているのが大きいですね。つまり、体が開いていないということです。右打者でも、センターから右中間寄りへ打つのが理想的です。逆へ打てなければ、打率は上がりませんから」(前同)
また、今季は強振しなくなったようにも見える。
「以前までの彼は、“ホームランといえば引っ張る”という意識が強すぎたんじゃないかな。でも、彼のパワーなら、軽く流してもレフトにホームランが打てますから、力みは不要です」(同)
それでも、過去の大打者たちが示すように、4割の壁は高い。
「研究され、相手の攻め方もきつくなってきます。調子を落とすとしたら、ヒットやホームランを欲しがり、普通なら簡単に見逃せるボールでも強引に振りにいってしまうケースでしょう。
投手レベルの高いパ・リーグとの対戦がある交流戦で、どうなるかです」(同)
ただ、佐藤は昨季、交流戦本塁打王に輝いた実績もある。調子を維持したまま、シーズンを終えれば、想定されるのがメジャー挑戦。早くも現時点で、今オフのポスティング移籍を確実視されている。
「メジャーのスカウトもサトテルを血眼でマークしています。現状、現実味のある三冠王にプラスして4割打者の看板がつけば、吉田正尚の5年9000万ドルを上回る超大型契約も視野に入ります。なにせメジャーでも80年以上、4割打者は生まれていませんから」(在米スポーツ紙記者)
サトテル無双の行方は!?
伊勢孝夫(いせ・たかお)
1944年12月18日生まれ。兵庫県三田市出身。三田学園高から63年に近鉄入団。勝負強い打撃が持ち味で“伊勢大明神”と呼ばれた。77年にヤクルトへ移籍し、80年に引退。その後はコーチとして、ヤクルト―広島―ヤクルト―近鉄―巨人と渡り歩き、近鉄、オリックスでは編成担当としても手腕を発揮。巨人では分析力を買われスコアラーも務めた。2008年から韓国SKのコーチを務め、10年シーズン中にヤクルトに復帰。現在は「ID野球の伝道師」と称され、評論家としても活躍中。