■「もっと早いカウントから打っていくべき」
現役時代に“天才”落合博満の薫陶を受けた愛甲猛氏は、「上半身の開きの早さ」を挙げる。
「開きが早いから、バットが遠回りをして、ヘッドが体を追い越していけていない。それがロバーツ監督も言う“スイングが遅い”ところにも繋がっている。要はバランスが悪いんだよ」
今季は大谷対策で左投手を数多く当てられている。
「左投手のスライダーや、右投手の外角のチェンジアップで空振りする場面が目立ちます。象徴的なのは、今季初の1試合3三振を喫した、4月25日の本拠地カブス戦でしょう」(前出のMLB担当記者)
前出の愛甲氏は、こう解説する。
「本来はステップする右足の外側で作るべき“壁”を、足の真裏で作っちゃっている。だから腰砕けのようなスイングになるんだよ。絶頂期の大谷なら、インパクトの瞬間に体が沈み込んで見えるから」
とはいえ、繊細な感覚を取り戻す作業は困難だろう。
「大谷クラスの選手が、いわゆる“ヤマ張り”のような打撃をしているのは、もったいない。来た球に反応して、もっと早いカウントから打っていくべきだよ。
タイミングを気持ち早くするだけでも、結果は違ってくると思う」(前同)
そう語る愛甲氏も、かつては投打二刀流で夏の甲子園で優勝を飾った超逸材。
「おそらく大谷自身は、投げて打って走って、というのを全部、自分でやることでリズムを作っている。“悪い”と言っても、並の選手よりは打っているわけだし、“限界”を論じるのはもっと後でもいい」(同)
二刀流を推す声も、ある。
「米ウェブメディア『AOL』は、《オオタニは打撃に専念すべきか? 絶対にそうすべきではない》との記事の中で、“ドジャースがオオタニと契約したとき、彼らは『夢を追う』事業に乗り出した。優勝もそうだが、オオタニにスポーツ界の歴史上かつてない偉業を成し遂げるための舞台を提供することも重要だ”と書いています」(MLB担当記者)
常人の遥か上をいく夢のショウタイムはこれからだ。
愛甲猛(あいこう・たけし)
1962年生まれ。神奈川県逗子市出身。横浜高校時代、夏の甲子園に2度出場し、“甲子園のアイドル”として絶大な人気を誇る。80年にドラフト1位でロッテに入団し、84年から野手に転向。89年には打率3割をマークし、一塁手としてもゴールデン・グラブ賞を獲得。西武時代の秋山翔吾に破られるまで、愛甲の535試合連続フルイニング出場がパ・リーグ記録だった。96年に中日に移籍し、2000年に現役引退。現在は野球評論家として活躍中。