■幼い頃の真が見た逃亡中の犯人の後ろ姿は、“訓練を受けた人間の動きではない”
そしてもう一つ、不審な点がある。辛島金属工場は、とてもではないが“立派”とは言えない工場だった。それがどうだ、現在の辛島夫妻が住んでいる家は、目を見張るような豪邸である。これは、小池=警察や、反社との「絶対に口にしない」という取引で、代わりに大金を与えられたからではないだろうか。また反社とだけの取引であれば、辛島の妻・ふみ(仙道敦子・56)があんなに堂々としていられるわけがない。警察が絡んでいるから、安心して今の生活を送れているのではないか。
さらにだ、もし小池をはじめ警察がかかわっていた場合、「時効」が成立するタイミングで田鎖両親を殺害することは容易い。このようにすべてが繋がってくる。ただ、一つだけ。小池は実行犯ではないのではないか。幼い頃の真が見た、逃亡中の犯人の後ろ姿は、とても訓練を受けた人間の動きではなかったように思える。
ここで浮かび上がる人物がいる。それは、田鎖兄弟の面倒を見ていた「もっちゃん」こと茂木(山中崇・48)。なにせこのドラマのプロデューサーは新井順子氏だ。事件をシンプルにせず、多重構造に魅せることには長けている。また、刑事ドラマ好きの新井Pだからこそ、刑事ドラマあるあるで、出演者の大トリに当たる人物を、真犯人にしてもおかしくはない……!?
SNSでは、《新井Pはミスリードが多いから、怪しい人は犯人から除外した方がいいかも》《もし、もっちゃんがかかわっていたら、悲しくて泣く》《晴子が何か真実を知ってそうなんだよなあ。それも騙されているかなあ》《小池は怪しいけど、情報後出しだったから、また後出し情報で、怪しい人物が変わるかも》など、考察合戦が始まっている。
確かに、小池は後出し情報であり、さらなる後出しがあって、筆者の推理がひっくり返される可能性は大いにある。だが。だからこそ、このドラマは面白いのだ。間違ってもいい。実際に今も、誰が犯人か、現時点での推理コメントで、SNSは溢れている。
さて、本当のところ……? 真犯人は誰なのか。まず筆者は、小池はじめ警察まわり、晴子の言動、茂木や辛島夫妻が口を滑らさないか、などに注目していきたいと思っている。
衣輪晋一(きぬわ・しんいち)
メディア研究家。雑誌『TVガイド』を経て制作現場を直接、長年見た経験とインタビュー経験から、多くのエンタメコンテンツを執筆。現在『マイナビニュース』『オリコンニュース』をはじめ、昨今では『東洋経済オンライン』でビジネス系のメディア研究も。写真集『堂本剛の正直I LOVE YOU』企画発案。元『メンズナックル』コピーライターなどサブカルにも通じる。制作会社でドラマアドバイザーを務めた経験もある。