『警察犬』と言われると、どんな犬を想像するだろうか。ジャーマン・シェパード、ラブラドール・レトリバー、ドーベルマン――。大きくてイカつくて、そしてちょっと怖い……そんなイメージがあるかもしれない。しかし、近年は“怖くない”警察犬がシバシバ登用されているようだ。
「4月6日に岐阜県警で初めて柴犬のメス“つぶ”が警察犬に就任しました。シェパードなどの大型犬が並ぶ中、鋭い嗅覚と集中力で遺留品を発見し、審査会で見事合格を果たしたといいます」(全国紙社会部記者)
小さくてペットとしても人気の柴犬は、日本が原産の犬種、いわゆる“日本犬”である。彼女の活躍は楽しみだが、その一方で、よく考えてみると日本犬の警察犬というのは、あまり耳にしたことがない。体つきで言えば、北海道犬や秋田犬の警察犬がいても良いし、紀州犬や甲斐犬ならタフで嗅覚も鋭いだろうと思ってしまうが……。意外にも活躍したケースはかなり少ないという。
「日本犬の警察犬は岡山県警の“二葉”が初めてで、2011年と最近のこと。多様な犬種が警察犬としてデビューする中、“日本犬は向いていない”という風説もあるんですよね」(前出の全国紙社会部記者)
その風説の根拠とは? YouTube『犬しつけTV -ゆうと先生-』を運営し、犬のしつけ教室「東京DOGS」の代表を務める松尾邑仁氏は、日本犬の“気質”に理由があると話す。
「柴犬をはじめとした日本犬は独立心が強く、警戒心や自立心が比較的強く出やすい傾向もあるので、“警察犬には向いていない”と認識されがちなんです」
そもそも、警察犬に要求される大切な性質は“精神の安定性”。災害下や事件現場など、緊迫した環境でも音や人に平常心を貫けるマインドが必要だという。
「慣れない場所でも捜索などの作業に集中して取り組めること、リード(引綱)でしっかりコントロールできることが求められます。警察犬の先進国はヨーロッパですから、その点は現地で警察犬として選抜・改良されてきた犬種のほうが、作業適性を発揮しやすい傾向があるといえます」(以下、松尾氏)
一方の柴犬や秋田犬などの“日本犬”が持つ自我や勇敢さは、精神の安定性とは少し方向性が異なる。それは狩猟犬、特に「獣猟犬」の性質に由来しているという。