■まだ姿を見せていない真犯人候補
その人物は、茂木の母、茂木カル(三谷侑未/75)だ。カルには、不可解な点が多い。公式HPの相関図には、2026年現在、「辛島家で貞夫(長江)の世話、家事全般をしている」とある。番組スタート時から記載があるにもかかわらず、いまだ登場していないのはカルだけだ。
さらに、相関図の95年欄に記載がないことも疑問だ。息子が工場に出入りし、現在、辛島家の世話までする間柄の人物が、当時の辛島家と関わりがないわけがない。
茂木(山中)は、ご覧の通り気弱な男だ。五十嵐組組員だったとするならば、自らその門を叩いたとは考えにくい。劇中、その存在は不明だが、父親が組員だったのではないか。茂木はその背中に導かれ、そしてカルもまた、組員の妻だった――。
今では老齢だとしても、事件は31年前。俊敏に動き回り、拳銃密造について把握していた女性は、カルしかいない。
第5話で新たに起きた事件は、病死と思われた難関国立大学の理事長が、実は、受験生の母親によって殺害されたというものだった。同大学は入学試験の採点ミスを隠蔽しており、母親は、自身の息子が不正に巻き込まれて不合格になったことに憤怒。理事長のかかりつけの薬局で働く薬剤師だったこともあり、薬の飲み合わせを利用して犯行に及んだ。
しかし、証拠不十分なことに加え、事件も憶測の域を出ないことから、逮捕されることはなかった。今回の事件について、
《今回、特にヒントになるようなことなかったね》
と、ある視聴者は指摘する。たしかに、これまでの『田鎖ブラザーズ』では、毎話で起きる事件が31年前の両親殺害事件のヒントになっていた。しかし、第5話に限って言えば、その兆しはない。だが、その代わりに、
「先生、本当にこれでよかったのでしょうか」
という気がかりなメッセージをラストシーンに残した。無罪放免となった母親が、秘匿性の高いメッセージアプリ「テレシーク」を使い、誰かにこのメッセージを送ったのだ。この展開にX上では、
《先生って誰だろ?》
《先生って、医者? 政治家? それとも税理士?》
《黒幕っぽいやつきたー》
と、謎の存在に対する考察が相次いだ。今後、事件は単なる過去のヒントではなく、現在の田鎖兄弟に降りかかる災難となりそうだ。
第6話の公式映像では、田鎖兄弟は奪われた津田の取材ノートを追う。さらに、交通事故を偽装した殺人事件が新たに起きる。津田の取材ノートには、31年前の何が書かれているのか。田鎖兄弟は、今も何者かによって事件に巻き込まれようとしているのか。真相解明の後半戦が、いよいよ始まる。
ドラマライター・ジュン
幼少期から映画を観ることが好きで、物語そのものの面白さはもちろん、「この作品はどうやって作られているのか」という裏側にも強く惹かれてきた。過去にはドラマや映画のロケーションコーディネーターとして現場に携わり、ロケ地選びや撮影準備などを通して、作品作りのリアルを肌で学んだ。そうした経験を重ねるなかで、俳優の芝居、演出、脚本、美術といったさまざまな要素が積み重なり、ひとつの映像作品として立ち上がっていく瞬間に、ますます心を奪われるように。いまは旬のドラマや映画を欠かさずチェックしつつ、張り巡らされた伏線や演出意図を読み解きながら、物語の核心やその先の展開に思いを巡らせる時間を何より楽しみにしている。