現役時代は阪神タイガースで2度のリーグ制覇、引退後は阪神や日本代表で指導者を務めてきた矢野燿大が“マスク越しの視点”から現在の球界を徹底解説。ここでしか聞けないレジェンドOBの“生の声”を本サイト編集部がお届けする。
開幕以来、高橋遥人が異次元の投球を続けています。5月14日時点で6試合を投げて4完封。文字通りゲームを支配しています。
プロ7年目ですが、これまではケガも多く、2020年に挙げた5勝が最多。数字だけを見れば、今季はこれまでとは見違えるようなピッチングを披露していると思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。私は遥人が万全の状態で投げたら、これくらいはできると思っていたからです。
私が彼を初めて見たのは二軍監督をしていたときです。一目見ただけで、これは「モノが違う」と驚きました。
まずストレートの質が素晴らしい。コントロールが良く、両サイドの低めに糸を引くようなボールをビシッと決めます。手元で球が伸びてきて勢いもある。バッターはスピードガンの数字以上に速く感じるはずです。
また、このストレートを生かすための変化球の精度が、とにかく高い。スライダーは滑るように曲がりますし、チェンジアップやカーブで緩急をつければ、どんな強打者のバットも簡単に空を切ります。