■視聴率好調も一抹の不安
看護婦養成所編に入っても、寄り道のような展開が多かったが、看護実習が本格的になった今週は、看護師と患者の距離感、千佳子(仲間)の背景と胸中に多くの尺が使われた。おかげで1本の朝ドラとして筋が通っており、安心して見ていられた。視聴率の数字が上向くのも納得だ。
しかし、このまま看護師の道を邁進するのかと思った一方で直美(上坂)と勘太(藤原)が再会し、直美の母親の存在を匂わせるエピソードが入ってきた。若干、唐突な感じはあったが、これは直美が孤児であるという設定上、生後間もない彼女を捨てた母親のことは、解決すべき問題なのだろう。
しかし、それ以上に唐突な感があったのは、安(早坂)の恋が匂わされたこと。安自体がほとんど登場機会がないため、キャラがぼんやりしていて、恋愛模様が展開されても盛り上がるとは思えない。しかも相手はサブキャラの槇村(林)の兄という、またも見慣れないキャラ。不要とまではいわないが、なぜ養成所編が盛り上がっているタイミングで?
おそらく、看護師として自立しつつある、りん(一ノ瀬)や直美と対比するように、「女の幸せ=結婚」という、別の女性の人生の構図を描きたいのだろう。ただ、今は看護師見習いたちが実習によって学びを得ることで、道を切り開いている段階に入っているのだから、わざわざ描かなくともよいのではないだろうか。
とはいえ、安の恋は意外とあっさりめで描かれるのかもしれない。視聴者はりんと直美、そして養成所の面々の成長を見たがっている。そちらを描いていけば、視聴率はさらに伸びるはず。次週は千佳子の手術を経験したりんが直美とともに、さらなる成長を目指すようで、その展開に期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。