■下のまぶたの裏側が白っぽく見える人は大腸がんを疑え

 他にも、自宅で簡単にできる病気のセルフチェックは、たくさんある。今回は、そんな“0円健康診断”を一挙、紹介しよう。

 まずは、同じく鏡を使ったものから。『怖いけど面白い予防医学』(世界文化社)の著者で、内科医の森勇磨氏は、次のように言う。

「病気の兆候は、発熱や痛みといった分かりやすい症状だけとは限りません。思いもよらない意外な形で現れることがある。特に、顔周りや皮膚に異変が出るので、月に1回、鏡の前で、顔と体をチェックする習慣を身につけましょう」

 なんと、顔周りには、日本人の死因トップの、がん(悪性腫瘍)や、脳血管疾患といった危険な病気の兆候が現れるという。

「鏡の前で“あっかんベー”をして目の状態を確認してください。その際、白目が黄色っぽい人は、肝臓がん、すい臓がんの疑いが、下のまぶたの裏側が白っぽく見える人は、大腸がんの疑いがあります」(前同)

 なぜ、がんによって白目や、まぶたの色が変化するのか?

「肝臓や、すい臓に異常がある人は、ビリルビンという黄色い色素が血液中に増え、皮膚が黄色くなる黄疸という症状が出ます。そして実は、毛細血管が集まる白目にも同様の症状が現れ、黄色くなるんです」(同)

 また、まぶたの裏側にある結膜も毛細血管が集中している場所だ。本来は赤く見えるのだが、

「この部分が白いと、貧血の疑いがある。貧血になると、赤血球のヘモグロビンが減り、血の色そのものが薄くなるからです。そして、貧血は大腸がんの重要なサインの一つです。大腸がんが進行すると、がんの表面から慢性的に出血が起こり、鉄分が失われることで、鉄欠乏性貧血を引き起こします」(同)

 いずれのがんも、初期は自覚症状が乏しいという。だからこそ、目に現れる小さな異変を見逃してはいけないのだ。

 次に見てほしいのが、表情の動き。鏡の前でニコッと笑う。たったそれだけで、脳梗塞のリスクが分かる。

「脳は、右脳が左半身を、左脳が右半身を制御しているので、脳の血管が詰まると顔や体の片側だけにマヒが出るケースが多いんです。

 なので、“片方だけ口角が上がらない”“片目だけうまく閉じられない”“舌をまっすぐ前に出せない”といった症状が出ていないか、定期的に確認することが重要です」(同)

 鏡を見るだけなら、どんなにズボラな人でも毎日続けられるだろう。髪型をチェックする前に、簡単メディカルチェックを習慣づけておこう。

 

【後編】では、「手」や「便」を見るだけで分かる体の危険なサインや、カレンダーを使った「緑内障チェック」なども紹介している。《【後編】はこちらから》

森勇磨(もり・ゆうま)
愛知県名古屋市生まれ。神戸大学医学部医学科卒業。藤田医科大学病院の救急総合内科にて救命救急・病棟で勤務。2020年、「すべての人に正しい予防医学を」という理念のもと、Youtubeチャンネル「予防医学ch」をスタート。登録者数90万人、再生回数1億回を超えるほどの人気に。22年、医療×IoTの実践を目指すオンラインクリニック「ウチカラクリニック」(https://uchikara-clinic.com/)を開設。『40歳からの予防医学』(ダイヤモンド社)、『怖いけど面白い予防医学』(世界文化社)など著書多数。