■娘には仕送りも必要で…

 坂口さんの介護生活が始まったのは母が自宅の近所で転倒し、骨折した2年ほど前のことだという。その際には介護施設の利用料とは別に自宅に手すりを付けるためのリフォーム代や介護用ベッドの購入費用などが必要になったそうだ。

「母親が2年前に自宅の近くで転んで骨折し、寝たきりになってしまった際に自宅をリフォーム。この時にまず50万円ほど必要になりました」

 必要となる費用はすべて自身の貯金からねん出したという坂口さん。現在、両親にかかる介護費用は全額2人が受け取る年金から支払っているという。

「地元の地銀に定年まで勤めあげた父のお陰で幸い2人には年金が十分な金額支払われています。これを現在は全額介護費用に使っている形です」

 坂口さんの父が受け取る年金は月約18万円、専業主婦だった母はおよそ6万円だ。一方で不安もあるそうだ。

「父が母よりも先に亡くなった場合、母の介護施設利用料は年金だけで賄えなくなってしまう。そうなると施設利用料として足りない11万円を毎月自分の貯金から支払う必要があるのです」

 現在2人の娘はそれぞれ東京と大阪で暮らしているという坂口さん。長女はすでに就職し1人暮らしを始めているが、大阪の有名私立大学に進学中だという次女には年間130万円の授業料と家賃を含め月10万円の仕送りが必要だ。

「もし、父が母より先に他界したら娘への仕送りと母の介護施設利用料だけで月に20万円以上必要です。15年前に建てた一軒家も住宅ローンの支払いが月におよそ11万円もある。これ以上の出費は押さえたい……。本当に親の年金が頼りなんです」

 介護生活と娘への仕送りで悩みが尽きないという坂口さん。十分な経済的基盤があろうとも苦労する介護の現実を、税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏が解説する。