■介護離職しないための方法をCFPが解説

――介護が必要になる前に要介護者ができる準備や金銭面で行なう必要がある備えはありますか。

 まず大切なのは、介護は思ったより長く、お金も一時的・継続的の両方でかかるという前提を持つことです。生命保険文化センターの調査では、介護の一時費用は平均47.2万円、月々の費用は平均9.0万円で、在宅介護は平均5.3万円、施設介護は平均13.8万円、介護期間は平均4年7か月です。ですから、介護の備えは毎月いくらかだけでなく、最初にいくら必要か、何年続いても耐えられるかまで見ておく必要があります。

 親の年金額、預貯金、保険、持ち家の状況、要介護認定の状況、誰が主介護者になるのかを一覧化し、介護が始まったら早めにケアマネジャーとつながることが重要です。介護保険サービスは原則1割負担で、一定以上の所得がある人は2~3割負担ですが、高額介護サービス費や、所得・資産要件を満たす人向けの補足給付(食費・居住費の軽減)もあります。つまり、家族だけで抱え込まず、使える制度を先に全部確認することが、最大の節約策になります。

 加えて、働く子世代にとっては介護離職しない準備もお金の備えの一部です。厚労省は、介護休業、介護休暇、短時間勤務等の措置、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限といった制度を案内しています。収入の柱を守ることが、介護家計では何より重要です。

【記事後編】では坂口さんのように親の介護資金と子どもの教育費の両方が必要になった場合の対策、将来必要になる介護費用を準備する方法をCFP宮岡秀峰氏が紹介する。《【後編】はこちらから》

※税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格を持つ宮岡秀峰氏

宮岡秀峰(みやおか・しゅうほう)
公認会計士、税理士、行政書士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)。税理士法人アクシア代表社員、アクシア公認会計士事務所代表。公認会計士として会計・財務の視点から中小企業支援に取り組むほか、相続・事業承継分野にも幅広く携わる。講演や税務相談の実績も豊富で、会計・税務分野の書籍共著、雑誌寄稿も行なっている。

税理士法人アクシア 公式HP:https://axia.or.jp/