■介護費用と教育費を備える方法をCFPが解説

――高齢化社会が進む中で親の介護と教育資金両方のねん出が必要になる家庭も少なくないと思います。この場合、どのように家計をやり繰りするのがいいのでしょうか。

 介護と教育費が同時に発生する場合、家計は一層の計画性が求められます。教育費の負担感は軽くありません。文部科学省の調査では、私立大学学部の初年度納付金の平均は約150万円で、授業料だけでも平均約97万円です。ですから、子どもの学費を抱える家庭では、学費は期限のある固定支出として先に確保し、介護費は制度活用と親の年金・資産でどこまで回るかを切り分けて考えるべきです。

 また、将来の変化も想定しておく必要があります。例えば、年金収入の一方が途絶えた場合にどれだけ不足が生じるのかをあらかじめ試算しておくことで、家計の脆弱性が見え、早めの対策につながります。短期的なやり繰りではなく、中長期の収支を意識した設計が重要といえるでしょう。

――国民の4人に1人がNISA口座を開設しているとも報じられています。教育資金や将来必要になるかもしれない介護費用を投資で準備してもいいのでしょうか。

 NISAは税制上のメリットがあり、長期的な資産形成には有効な制度ですが、「将来必ず必要になる資金」をすべて投資で準備する場合には注意も必要です。

 投資信託は長期的には成長が期待できる一方で、短期的には価格変動の影響を受けるため、必要なタイミングで評価額が下がっている可能性もあります。特に教育費のように使用時期が明確な資金については、直前の相場状況に左右されるリスクを踏まえる必要があります。一般的な目安として、10年以上使う予定のない資金であれば投資の活用を検討し、それより短期の資金は預貯金などの安定資産で確保するという考え方が現実的です。

 銘柄選びについては、低コストで分散効果のあるインデックス型の商品を長期で積み立てる手法が広く採られていますが、元本割れの可能性を完全に排除することはできません。したがって、必要資金は「安全資産と投資の組み合わせ」で準備するというバランスが重要になるでしょう。

【記事前編】では坂口さんのように親の介護をしながら働く人が活用できる休暇制度をCFP宮岡秀峰氏が紹介する。《【前編】はこちらから》

※税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格を持つ宮岡秀峰氏

宮岡秀峰(みやおか・しゅうほう)
公認会計士、税理士、行政書士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)。税理士法人アクシア代表社員、アクシア公認会計士事務所代表。公認会計士として会計・財務の視点から中小企業支援に取り組むほか、相続・事業承継分野にも幅広く携わる。講演や税務相談の実績も豊富で、会計・税務分野の書籍共著、雑誌寄稿も行なっている。

税理士法人アクシア 公式HP:https://axia.or.jp/