■重要性を増す「ボトルtoボトル」
そこまで厳密な分別をしなければいけない理由は理解できたが、そこで新たな疑問も生じてくる。
それが、「なぜ自治体によって回収方法や分別ルールに差があるのか?」ということ。
その理由は、最終的に何に生まれ変わるのかによって、必要な工程や求められる品質が変わるからだと、前出の浅野氏は言う。
「ペットボトルのリサイクルについては、たとえばシートや繊維、包装材などに再利用する場合であれば、分別や選別は必要であっても、実はそこまで厳しい品質基準はありません。ただ、使用済みペットボトルを再び飲料用ボトルに戻す場合は、衛生性が非常に重要になるため、洗浄や汚染物質の除去など、より高度な工程が必要になります。回収方法に差があるのは、自治体などによって回収後のリサイクル用途についての考え方に違いがあるからだと思います」
しかし、そんな中で近年、盛んに行われているのが後者。ペットボトルを再びボトルに戻す水平リサイクル、「ボトルtoボトル」だ。そのため、キャップとラベルを外して捨てることの重要性が関係している。
「ペットボトルがもう一度ペットボトルに戻れば、資源を同じ用途で循環させ続けることができます。新たに石油由来の原料を使う量を抑えることにもつながりますから、物価高の時代にはボトルtoボトルの重要性がより増しています。2024年度時点では、ペットボトル生産量の37.7%がボトルtoボトル。清涼飲料業界では、その比率を2030年度までに50%にするという目標を掲げています」
ちなみに日本は、ペットボトルの“リサイクル先進国”でもある。
「2024年度のデータだと、回収率としては9割以上あり、そのうち85.1%がリサイクルされています。リサイクル率は85.1%、熱回収なども含めた有効利用率は98.6%に達しています。2021年時点で欧州は約42.7%、米国は19.6%ですから、日本は世界的に見てもペットボトルの回収・リサイクルがかなり進んでいる国なんです。また、飲み残しや異物が入っている場合は、状態よっては異物として扱われて焼却処理などに回されることになるというが、その焼却時の熱を発電などに利用する熱回収も日本では進んでおり、有効利用率は98.6%に達しています」
ペットボトルは日本では無駄なく活用されている資源と言えそうだ。
物価高を抑えるためにもリサイクルは重要だが、その前に資源の有効活用という面でも、家庭での小さなひと手間は大切だと言えるだろう。
PETボトルリサイクル協議会
日本におけるペットボトルリサイクルの推進を目的として関連業界団体によって1993年に設立された団体。主にリサイクルを促進するための広報活動や、リサイクル製品プログラムへの支援を行っている。