■「106万円の壁」撤廃で変わる働き方の選択肢

 さらに注意しておきたいのが、2026年10月から施行される「106万円の壁」の撤廃と、それに伴う社会保険の加入基準の変化です。これまでは従業員51人以上の企業で年収約106万円以上(月額8.8万円以上)が加入ラインでしたが、賃金要件が撤廃されるため、今後は金額にかかわらず「週20時間以上」働くと社会保険の対象となります。交通費の支給額が判定に含まれるケースもあり、こうした社会保険の適用要件を避けるために複数掛け持ち(ダブルワーク)の職場で勤務時間を分散する働き方も広がっています。たとえば、A社で週15時間、B社で週10時間働くといった形態であれば、どちらの職場でも社会保険の対象となる「週20時間以上」の基準を満たさないため、社会保険に入らずに済み、手取りを維持することが可能です。

 もう一つ見逃せないのが、自身の社会保険料だけでなく、配偶者側の会社から支給される家族手当などの条件。手当の支給条件に収入制限がある企業も多く、本人の収入を増やした結果、世帯全体ではマイナスになることもあります。これらを防ぐには、自身の社会保険の壁だけでなく、夫婦の収入を合わせた“世帯全体の視点”で試算することが欠かせません。

「よく見られるのは、“なんとなく抑える”働き方です。扶養を守る“セーブ型”か、収入を伸ばす“突き抜け型”か方針を先に決め、年間収入を軸にシフトを組む発想が重要になります。また、2026年から所得税の課税最低限が103万円から178万円へと引き上げられ、税金面の負担は軽減されますが、この“178万円の壁”はあくまで所得税の話です。130万円の社会保険の壁は別の制度として残るため、扶養内で働きたいなら年収130万円未満が目安。扶養を外れるなら150万円以上を目指すことを検討しましょう」(ファイナンシャルプランナー)

 場当たり的な調整から一歩引いた発想が、今後より求められていくのかもしれません。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。