■シリーズ化に期待の声の『月夜行路』の4つの強み

『月夜行路』の5月13日放送回(第6話)の個人視聴率は3.0%。第6話は新章「東京編」の初回ということもあって、注目されていた。

 同日に放送された『水ダウ』の企画は「極寒街中野球拳」。芸人たちが街中で服を賭けた野球拳ロケを終えたままの格好で雪山へ移動し、そこで我慢比べをする企画。個人視聴率2.9%だった。

 そんな『月夜行路』には、シリーズ化を期待する声も多い。

《夜中のドラマにピッタリな知的で血生臭くないミステリー具合。これはシリーズ化して欲しい》
《往年の2時間ミステリーみたいか軽やかさとキャラクターの愛らしさとルナママの可憐さがとびきり素晴らしいドラマなのでシリーズとして続いて欲しいです》
《2人の旅を永遠に見てられるからシリーズ化してほしい》

『月夜行路』のシリーズ化――確かに、同作には魅力的な要素が多い。まず1つとして、主人公コンビのルナ(波瑠)と涼子(麻生)が素晴らしい。“バディもの”は人気が出やすいジャンルだが、演じているのが波瑠と麻生――美貌、演技力、好感度が抜群に高い2人が演じていることもあって、ずっと2人の活躍を見ていたくなる。

 そして、作風の良さ。同作はミステリーとしては王道の1話完結スタイル。「東京編」の“パソコンのパスワードの謎”など縦軸での物語もあるが、各回で事件が起きて、それをルナ・涼子コンビが鮮やかな推理で解決していくわけだが、フォーマットがしっかりしていて、国民的作品『名探偵コナン』(日本テレビ系)や刑事ドラマ『古畑任三郎』(フジテレビ系)にも通ずるような“見やすさ”がある。

 そして、その“見やすさ”を作っているのが、脚本の良さ。また同作は単純な謎解きドラマではなく、各回ごとに太宰治の『パンドラの匣』や宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』など文学作品が物語に組み込まれているなど、“学び”の要素がある。

 それに、第8話でトランスジェンダーの話が描かれたこともそうだが、各回で“親子の衝突と和解”、“青春時代についた優しい嘘”など、ミステリーを抜きにしても各回が人間ドラマとして綺麗にまとまってもいる。それでいて物語はスピード感があって見やすいし、重苦しくならないように適度にコメディシーンもあり――脚本の質が高く評価されている。

 また、特に「大阪編」(~5話)が、“ルナの正体”“涼子の元カレの行方”など多くの伏線が張り巡らされていたことがそうだが、同作の前半は“考察ドラマ”としても楽しめた。7月から続編が始まる『VIVANT』(23年7月期/TBS系)、1月期の『リブート』(前同)もそうだったが、“考察ドラマ”は多くのファンがいるジャンル。『月夜行路』制作陣もそれを理解していたから、特に前半を考察ドラマとしても楽しめる作りにして、視聴者をひきつけたのかもしれない。

 ハイレベルなバディもの、見やすさ、学びのある脚本、そして、視聴者の興味を引く考察要素――そんな4月期の人気ドラマ『月夜行路』をドラマライター・ヤマカワ氏はこう分析する。

「ルナ(波瑠)が天才で変わり者のホームズ系、涼子(麻生久美子)が誠実な常識人のワトソン系と、探偵モノ定番のキャラ設定であることで、わかりやすく、安心して見られる。それに加えて、波瑠さんと麻生さんの女性人気と画力の強さが、本作のヒットの理由でしょう。

 さらに、大阪編で退場かと思った刑事の田村(栁俊太郎/35)と小湊(渋川清彦/51)が都合良く東京に来たうえ、ルナの店『マーキームーン』のスタッフも物語に関わるようになり、チーム感が出たことも大きい。これだけキャラが揃えば、続編やスペシャル版に期待したくなりますね」

 現在放送中の「東京編」の内容は、原作小説第2弾にして最新刊の『月夜行路 Returns』(講談社/4月22日発売)に基づいている。第3弾が発売された日には、続編の展開も――。

ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり多部未華子佐藤二朗綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。