■ドゥンガが伝授した勝者のメンタリティ
Jリーグ発足初期には、94年アメリカW杯で優勝したブラジル代表のメンバーがたくさんいました。ジョルジーニョさん、レオナルドさん、サンパイオさん、ジーニョさん、ロナウドさん、ジルマールさんといった選手です。今、思い返しても、彼らのプロフェッショナリズムはすさまじいものがありました。
特に、94年のブラジル代表のキャプテンだったドゥンガさんは強烈でした。95年の来日後、彼に力強く鼓舞されたジュビロ磐田は大躍進を遂げました。まだ若手だった藤田俊哉さんや名波浩さんは、その背中を見て急成長。2人は後に日本代表の中核として活躍しましたが、ドゥンガさんから勝者のメンタリティを植え付けられたと思います。
実は当時、私は偉大な外国籍選手に会うたびに「日本サッカーに財産を残してほしい」と、強く、そして、何度もお願いしていました。もちろん彼らは快諾し、「日本を強くしたい」という一心でプレーしてくれました。その真摯な姿勢には心から感銘を受けましたし、日本人選手たちにマインドが伝わったと確信しています。彼らの存在がなかったら、日本がW杯8大会連続出場を実現できるような国にはならなかったかもしれない。そのくらいの貢献度があったと確信しています。
現在、Jリーグで活躍している外国籍の指導者、選手にも同じような気持ちで日本サッカーに何かを残してもらえることを願っています。もちろんチームを勝たせることが一番大きな仕事ですが、チームメイトや対戦相手にも良い刺激を与え、Jリーグのレベルアップにも力を貸してくれたらうれしいです。
今の時代は欧州リーグで活躍して戻ってきた日本人選手も少なくないですが、外国籍の指導者や選手だからこその違いを発揮してくれることを期待しています。
ラモス瑠偉(らもす・るい)
1957年2月9日生まれ。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ出身。77年に来日し、読売サッカークラブ(東京ヴェルディの前身)でプレー。攻撃の核として5度の日本リーグ優勝に貢献し、得点王を2回、アシスト王を3回獲得した。93年にスタートしたJリーグでもヴェルディ川崎の中心選手として活躍。チームを初代王者、さらに連覇に導くとともに、自身は2年連続でベストイレブンに選出されるなど、Jリーグの草創期を支えた。89年に日本に帰化して日本代表でもプレー。司令塔としてアジアカップ初優勝をもたらし、94年W杯予選でもチームをけん引したが、あと一歩というところで本大会の出場権を逃した。98年に現役引退。指導者としては古巣の東京VとFC岐阜で指揮を執り、ビーチサッカー日本代表の監督としてW杯で世界を凌駕する活躍を見せた。国際Aマッチ通算32試合1得点。2018年、日本サッカー殿堂入り。
ラモス瑠偉公式サイト:http://www.ramos.jp/
(本連載取材協力:KAKU SPORTS OFFICE)