■大学教授が示したAI使用への見解

 急速に普及する生成AIは、子どもたちの可能性を奪うのか、それとも育てるのか。自身も8歳の娘を持つ、千葉商科大学基盤教育機構教授の常見陽平氏は、こうした現象はこれまでにも起きてきたと話す。

「人間は、その時代ごとの最も便利でアクセスしやすいツールを使用するものです。“ググれカス”という言葉が登場したように、2000年頃から何でもGoogle検索するようになりました。今の生成AIと同じように、Google検索には、間違った情報も載っていると言われていました」

 とはいえ、検索利用と生成AIでは、情報に対する感度が異なるようだ。

「生成AIの場合、即座に疑問に対する答えを出してくれるのでもっともらしく見えてしまうことが大きな違いだと思います。Google検索は、まだ自己責任の世界でした。生成AIも、必ず正しい答えを出すとは限りません。生成AIの癖を理解せずに使用すれば、判断力が鈍るということも考えられます」(前同)

  生成AIは、文字以外にも音声で情報伝達を行うことができる。それも、機械的に読まれた音声ではない。こちらの問いかけに対して、まるで人間のように語りかけることができる。子どもたちが親近感を覚えて手に取るのは、無理もないだろう。

‎「子どもが生成AIを使うのは、目の前にある一番便利なものだからです。これは辞書を引いたり、ネットで検索したりすることと何ら変わらないことだと思います。子どもにタブレットやスマホを与えなければいい、というわけでもありません。親のスマホを奪って見たり、そもそも、子どもに質問された親が生成AIで調べていたりする。そこは大人が気をつけないといけないと思います」(同)

 だが、生成AIをうまく使えば、仕事や勉強の効率が何倍にも跳ね上がるのは事実だ。膨大な情報の中で正誤を適切に判断する力を養うには、どうすればいいのか。​​

「人間らしい生の体験が、今はすごく大事になっています。人と話すこと、音楽を聞くこと、芸術を見ることなど、心が動く体験の中で嗅覚を磨く。生成AIに限らず、今はSNSに流れてきた見出しだけで反射的にアクションする時代です。人間らしい嗅覚をいかに磨くかということは、判断力を養うカギになると思います」(同)