■他人にとっての正解が全てではない

 さらに前出の常見氏は、これからの時代、読書が重要になってくると言う。

「本を読む人がほとんどいないと言われる時代ですが、私はちゃんと本を読めることが今とても大事になっていると思います。ただし、情報収集として捉える人はダメなんです。本に何が書いてあるかは、レビューを読めばある程度わかるし、見出しを読めばざっくり分かります。生成AIに要約してもらうことも可能ですが、言葉と対話する力がますます必要になってくるのではないでしょうか」

 人が答えを欲するのは、悩みを抱えているからだ。特に、子どもたちが子どもでいられる時間は18年、長くても22年しかない。だからこそ、早く、確かな答えが欲しくなるのかもしれない。ただ、

「正解ではなく、納得感を見つけるセンスがとても大切です。他人にとっての正解が、自分にとっても正解だとは限りません。今は答えがないものがすごく増えていると思います。生成AIが出してくる答えを疑うセンスは、日々養っていかないと磨かれません」(同)

 生成AIはネット上の情報収集に長けており、その速さに人間が勝つことはもはや難しい。しかし、今目の前で起きたことや、頭の中で浮かんだ言葉、心が動く瞬間までは、生成AIが代わりに感じ取ることはできない。生成AIに頼り切るのではなく、まずは自分の感覚で受け止めてみること。周りを見渡せば、唯一無二の自分らしさは意外と近くにあるのかもしれない。

常見陽平
1974年生まれ.北海道札幌市出身.一橋大学商学部卒.同大学大学院社会学研究科修士課程修了.リクルート,バンダイ,ベンチャー企業,フリーランス活動を経て、現在、千葉商科大学基盤教育機構教授,評論家主著─『日本の就活』(岩波新書)『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版)『50代上等!──理不尽なことは「週刊少年ジャンプ」から学んだ』(平凡社新書)など