6月3日は、昨年89歳で世を去った“ミスター”長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督の一周忌だ。
「直前の5月25日に現役の監督(阿部慎之助氏)が逮捕されるなんて、球団創設以来の一大事。今こそ、誰からも愛された長嶋さんの太陽のような魅力に学び、再建を図らねばなりません」(元・スポーツ紙巨人担当記者)
時代は変わっても、ミスターの輝きは永久に不滅。その功績を「名・珍カルタ」で振り返っていこう。
長嶋茂雄はプライベートでも型破り。どんな行動も、ミスターなら、なぜか許せてしまうのだ。
「“も”の札にある、ふぐ刺しのエピソードが象徴的ですが、長嶋さんには一切の悪気がない。それを周囲の人はよく知っていて、愛していた」(元・スポーツ紙巨人担当記者)
切り分けて提供されたスイカの先端部分だけを全部食べてから、「おいしいですよ」と周囲に勧めることも。
息子・一茂氏ら多くの関係者が証言する、その光景を球宴出場時に目撃した元阪神・藪恵壹氏などは「本当に、そうやって食べるんだと感動した」と言う。
第一次政権時に薫陶を受けた角盈男氏も、こう語る。
「大食漢の王(貞治)さんに対し、長嶋さんは美食家のイメージ。ご本人の中には、それが一番おいしいという、こだわりの食べ方があったんだと思います。
スイカは本当に大好きで、千葉在住だった球団の人間に“スイカ切ったから今から(田園調布の)家においで”と電話した、なんて話も聞いたことがあります」
また、“ゆ”の札にある入浴作法も選手&監督時代を通じ、首尾一貫。
デーブこと大久保博元氏も、宮崎キャンプの宿舎だった青島グランドホテルの大浴場で遭遇したという。
「自分がサウナに入っていたら、頭にタオルを巻いた監督が入って来られて。頭も体も固形の石けんで洗って、そのままジャポンと。湯船に浮いた泡さえもありがたく感じましたよ(笑)」
さらに、“け”の札にもあるように、金銭感覚も常人とはかけ離れていた。
監督時代、大活躍した選手にポケットマネーから出たという“監督賞”について、角氏はこう言う。
「金額は確か当時で50万円とかかな。“これで、晩飯1回は食べられるな”って(笑)。長嶋さんなりの気遣いの一つで、僕も連投が続いたときなんかは、(阪神戦時の定宿で精肉店にルーツを持つ)ホテル竹園芦屋の高級肉が自宅に届いたこともありました」
一方、せっかちとして知られたミスターは、プライベートで映画鑑賞に行った際も、「もう分かりました」と、結末の前に劇場を出てしまうことも、しばしば。
だが、「それも気遣いのうちでは」と、角氏は続ける。
「明るくなってから出ると観客が気づいて騒ぎになる。そういう混乱を避けたい意図があったと思います」
ちなみに、同行するのはいつも決まってミスターづきのマネージャー。そんな側近たちに対してもスターらしい気遣いはあった。
「お菓子や飲み物を“買ってきて”と頼むたびに万札を渡して、お釣りは求めない。一度映画に行くと、数万円は手元に残ったと聞きますよ」(前同)