大学を卒業してからおよそ38年。3か月ほど前に長年勤めてきた愛知県内の製薬会社を定年退職したという長村明さん(61・仮名)。年金給付が開始される65歳になるまでの4年間は会社の継続雇用制度を利用して生活費を稼ごうと考えていたという。そんな長村さんだが、継続雇用となった瞬間に大幅に毎月の給料が減ったんだとか。退職前年には700万円の給料を受け取り世間一般よりも高給取りだった長村さんの年収はなぜ大幅に減ったのか。今回は長村さんのケースをお金の専門家と共に検証する。
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多くの会社で導入されている継続雇用制度。長村さんの会社でも退職前年の給料の6割ほどの金額を受け取りながら定年後4年間働くことができるという。年金の受給ができる65歳までの4年間の“つなぎ”と考えれば決して悪い待遇ではない。しかし、長村さんはこう嘆く。
「税金の負担が重たくって……。収入は4割ほど減ったのに、住民税は現役時代である前年の給料700万円を基準に毎月の給料から天引きされてしまう。給料は下がったのに税金だけ取られるなんて、これじゃ、やっていけません」
現在の長村さんの給料は夏と冬それぞれ1か月分のボーナス込みで額面420万円ほど。月の給料は額面で約30万円だ。一方、昨年の給料を基準に毎月の給料から差し引かれる住民税はおよそ4万円。その他にも所得税や健康保険料、厚生年金などが合計して5万円ほど給料から差し引かれている。手取りで毎月受け取れる金額はおよそ20万円だ。
「55歳で役職定年となり、最後の5年間は給料が右肩下がりでした。それでも最後の年は月に額面で50万円、手取りで40万円ほどの給料を受け取れていた。定年のタイミングで2000万円の退職金は振り込まれましたが、まさか定年翌年の給料が現役時代と比べて半減するなんて……」
更に長村さんの家計を苦しめる支払い項目があるという。
「住宅ローンです。自宅を購入したのは30歳のとき。35年の住宅ローンを組み毎月6万円の支払いを続けてきました。ローンの支払いは順調に続いていますが、それでも4年分の支払いが残っています」
住宅ローンが差し引かれた後に長村さんの口座に残る毎月の給料は14万円だ。
今では定年退職後に多くの企業で導入されている継続雇用制度。退職後のお金と税金に関する問題を税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏が解説する。