■地域全体で警戒意識を高めることが重要
次に留意したいのが、事前に現れる下見犯の存在だ。
栃木の事件でも、事件前に何度も不審車両が確認されていた。そのため、集落では不審車の写真を載せた回覧板を回し、警察も巡回を行っていたという。
「4月中旬以降、偽造ナンバーの不審車や、ナンバープレートを跳ね上げた原付バイクが複数回、目撃されていた。こうした見慣れない他県ナンバーやフルスモークの車、プレートを加工したバイクなどは下見犯と疑って写真を撮るなどしておいたほうがいい。また、スマホを手に住宅の写真や動画を取っている人物にも、要注意です」(社会部記者)
ただ、栃木の事件では8日前に、不審車に乗る41歳の男が逮捕されていた。
にもかかわらず、なぜ悲劇は起きてしまったのか。セキュリティ組織『BONDS』の伊勢野寿一代表は「犯罪が巧妙化している今、地域全体で警戒意識を高めることが重要です」と話す。
「“前から不審に思っていた”ならば、なぜ、もっと警戒しなかったのか。プロの目から見ると、そう映ってしまいます。
警戒レベルを少し上げるだけで、下調べに来た犯人も“やめておこう”と諦めるものです」(前同)
例えば、防災無線などで集落全体に不審者・不審車両に対する警戒について繰り返し流すなど、地域全体での取り組みも必要だろう。
そして、個人が取り組むべきは、自宅の防犯対策だ。
「まずは強盗に襲われない環境作りがすべての基本です。玄関の鍵を見直す、インターホンで相手の顔をしっかり確認するようにする、寝床の近くにスマホを置くといった、防犯上、やるべき当たり前のことを、しっかり行ってください」(同)
ヤラれる前に準備すべきことは、まだまだある。【後編】も読んで備えてほしい。
【後編】では、トクリュウの実行犯たちが嫌がる「目」「光」「音」「時間」という4つのキーワードを小川泰平氏が徹底解説。“命を守る家族会議”を開いて「決めておくべきこと」など、より実践的な防犯対策も紹介している。《【後編】はこちらから》
小川泰平(おがわ・たいへい)
1980年4月から2009年12月まで神奈川県警察の警察官を務め、警察局長賞や警察本部長賞などを受賞。現在は、犯罪ジャーナリストとして多数のメディアに出演中。
伊勢野寿一(いせの・としかず)
1978年生まれ。20代前半から総合格闘家を目指し、エンセン井上に弟子入り。現役の格闘家や元自衛隊員、大学の柔道・相撲部員なども在籍した伝説のセキュリティ組織『BONDS』を立ち上げる。設立当初は、格闘技イベントやクラブイベントなどの警備で名を轟かせた“コワモテ集団”だったが、その後は官公庁依頼の業務もこなすなど、日本では珍しい民間トップクラスのセキュリティ・チームに育て上げた。