■英人が光誠を突き落とすのか

 最終話となる第9話の予告では、ついに光誠(高橋/1人2役)が神社の階段から転落した運命の日が描かれる。そこで気になるのが、予告映像に映る英人(高橋/1人2役)の服装だ。これまで断片的に描かれてきた光誠を突き落とした犯人の服装は黒色のもの。この日、神社へ向かう英人の服装も黒系で統一されており、服装が似ているようにも見える。

 だとすれば、光誠を階段から突き落としたのは、英人として生きる光誠自身なのではないか──。そんな可能性が浮上する。

 それともう一つ気になるのが、友野達樹(鈴鹿央士/26)の動きだ。最終話の予告では、英人が野本英梨(横田真悠/26)から、友野が行方不明だと知らされ、急いで神社へ向かうようだ。

 友野は、英人の異変に近い場所で触れてきた人物でもある。第5話では、海外出張で不在だった光誠の代わりに、英人が影武者として交渉に臨み、その場に立ち会っていた。第6話以降も、英人が未来の記憶を使い、NEOXISの東京五輪関連事業や銀行買収の危険性を訴え、商店街の危機を先回りして回避しようとする姿を見てきた。

 第8話では、その違和感を更紗も口にする。英人は、金平が命を絶とうとしていることを最初から知っていたのではないか。工場にあったロープやコードを持ち去り、更紗に「父に付き添っていてほしい」と念を押したこと。温暖化対策グッズやコロナ対策グッズの件でも、まるで先の出来事を知っているように動いていたこと──。友野もまた、英人の“未来を見抜く力”には何度も驚かされてきたと認める。

 そこで更紗は、英人の部屋にあったSF小説『未来の記憶』を示す。そこには《歴史を変えて成功を得たものは代償を支払う》という趣旨の一文があった。友野が「英人さんは一度死んで生まれ変わった?」と口にすると、更紗は「もし英人が私が思う英人とは違う人間だったとしたら」と不安をのぞかせる。2人は、英人の“転生”という核心にかなり近づいているのだ。

 一方で、友野の光誠への不信感も積み重なっている。あかり商店街がNEOXISの買収用地に決まった際、友野はその事実を英人に伝えながら、光誠への怒りをにじませていた。第8話では商店街との交渉役となり、住民に寄り添おうとしたものの、結局はその役からも外される。その後、NEOXISは商店街を追い込む卑劣な手段に出た。

 さらに最終話の予告では、NEOXISを去って人道支援企業を立ち上げた友野が、復興支援の協力要請で光誠のもとを訪れる。かつて「FOR THE PEOPLE」を掲げ、福祉事業をNEOXISの屋台骨としていた光誠を今も信じたい友野だったが、その期待は打ち砕かれるようだ。光誠への失望が怒りに変わり、殺意となったことで友野は運命の日に神社へ向かうのではないか。

 一方、英人として生きる光誠は、未来の記憶をもとに友野の行動を察知し、光誠の転落を阻止するために神社へ急ぐ──そんな流れも考えられる。 

 そこで待っているのが、父・英治(小日向)の危機だ。前世では、光誠が階段から転落した際、その先にいた英治が巻き込まれる形で命を落としている。今回も光誠が階段から落ち、その先に英治がいるなら、同じ悲劇が繰り返される危険がある。

 友野が神社に居合わせることで、結果的に英治、さらには光誠をも救う役割を担う可能性がある。

 金平は一命を取り留めた。もし英治も友野によって救われるなら、最終回では“誰かが死ぬことで歴史が変わる”のではなく、誰も死なせずに歴史を変える結末へ向かうことになる。突き落とし犯は英人なのか。それとも、光誠が自ら階段から転落する未来を選ぶのか。2人の光誠が対峙することになる最終回。すべての謎が一気に明かされることになりそうだ。

ドラマライター・ジュン
幼少期から映画を観ることが好きで、物語そのものの面白さはもちろん、「この作品はどうやって作られているのか」という裏側にも強く惹かれてきた。過去にはドラマや映画のロケーションコーディネーターとして現場に携わり、ロケ地選びや撮影準備などを通して、作品作りのリアルを肌で学んだ。そうした経験を重ねるなかで、俳優の芝居、演出、脚本、美術といったさまざまな要素が積み重なり、ひとつの映像作品として立ち上がっていく瞬間に、ますます心を奪われるように。いまは旬のドラマや映画を欠かさずチェックしつつ、張り巡らされた伏線や演出意図を読み解きながら、物語の核心やその先の展開に思いを巡らせる時間を何より楽しみにしている。