〈INFJとENTPは相性抜群らしいよ〉
〈彼女はISFPだから、デザイナー肌なんだよね〉

 この数年、こんな会話を耳にすることが増えた。

 これが何かといえば、ご存じの人も多いであろう『MBTI診断』というもの。60問前後の質問に答えると、性格やタイプを16パターン(これをベースにさらに細分化した64パターンのものもある)に振り分けてくれ、自身の特性や長所、短所、さらには誰かとの相性まで占える心理テストだ。

「最初は韓国アイドルやインフルエンサーがSNSで取り上げたことをきっかけに、Z世代を中心に流行した“性格診断”です。今では、これが会話のきっかけになったり、マッチングアプリの自己紹介に記載したりと、かなり浸透しています。もはや“MBTIありき”の人間関係が増えているといった印象もありますね」(トレンド情報ライター)

 インターネットのサイトで無料の診断ができるという手軽さや、4文字のアルファベット、もしくはその象徴として「建築家」「仲介者」「運動家」などの親しみやすい分類で自己分析や相性診断ができるという分かりやすさが人気となり、2022年頃から爆発的に流行。それから4年近くが経った現在も、診断結果のタイプを聞かれる、伝えるのが挨拶代わりというほど一般化しつつある。

「今や就職試験の適性検査として従来使われていた『SPI』に代わって、このMBTIの診断結果を面接で聞くという企業もあるようです」(前同)

 いやいや、ちょっと待ってくれ! ロクに話したこともない相手から、さも自分のことをすべて理解したようなふるまいをされるのもどこか癪な話なのに、それが今や就活という“人生の岐路”で用いる企業もあるって……。そもそも、このような無料で手軽な心理テストで、人生を左右するほど人間の性格を把握できるものだろうか。

 神奈川大学人間科学部教授の心理学者で、同大学の就職支援部長を務める杉山崇氏に話を聞いてみた。すると杉山氏は、このMBTI診断とSPI試験は“まったくの別物”だと断言した。

「“MBTI診断”と呼ばれているテストは、性格をタイプ別にするという趣旨のもののようですが、そもそもどのようにして作ったのかも不明瞭なんです。それに対してSPIは、膨大な統計データを保持していて、そこから人物の性格の傾向を測ることができる試験です」

 さらに、SPIには適性を計るための“ある工夫”がなされているのだという。

「受験者が“自分をこんな風に見せたい”というコントロールがしにくいという特徴があるんです。テストって、受ける人がどこまで本音で回答しているのか分かりませんし、気分でも結果が変わることもありますから、正確な傾向を掴むために、制限時間内に終わらないくらい問題を増やしたり、どちらを選んでも正解がない設問にしたりしているんです」

 実際に「日本MBTI協会」の公式インスタグラムでも、

〈MBTIは人の性格を診断するものではありません。ましてや職業適性や能力や相性更に将来の推測をするものでもありません〉

 と、就活などに結びつけるのはなく、あくまで自分自身の価値観や性格を見つめるためのツールだと強調している。

 簡単に無料で実施できるMBTI診断にはSPIに匹敵するほどの正確さがあるとは言えないようだ。