日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回、戸田氏が注目したのは、デジタルネイティブ世代が陥るAI依存と、企業の対応についてです。

 ビジネスシーンにおいて生成AIの活用はもはや当たり前の光景となりました。情報収集やデータ分析、資料のたたき台作成といった業務で劇的な効率化をもたらしていることは疑いようもありません。しかし今、この便利なツールをあえて新入社員には使わせない「AI禁止令」を打ち出す企業が相次ぎ、議論を呼んでいます。

 背景にあるのは、過度なAI依存による“基礎能力の欠如”への危機感です。例えば、IT業界のある現場では、期待の新人がAIを用いて短期間でシステムを構築したものの、中身を精査すると膨大な不備が発覚したケースが報告されています。

 制作過程を理解せずAIに丸投げした結果、本人が修正しなければいけない箇所すら把握できない状態に陥っていたのです。企業の新人教育担当者の多くは、基礎力を養うためにあえて、一定期間AIの利用を制限し、自分の頭で考えるプロセスを重視する決断を下しているというわけです。

 こうした“下積み”の重要性を説く声がある一方で、若者の価値観は対照的です。