現役時代は阪神タイガースで2度のリーグ制覇、引退後は阪神や日本代表で指導者を務めてきた矢野燿大が“マスク越しの視点”から現在の球界を徹底解説。ここでしか聞けないレジェンドOBの“生の声”を本サイト編集部がお届けする。
交流戦が佳境を迎えています。ふだんは対戦しないチーム同士の対決が見られるので、ファンの皆さんは新鮮で面白いですよね。
ただ、監督目線で考えると、交流戦には怖さがあるのも事実です。わずか18試合ですが、交流戦を境に好調のチームが調子を落としていくこともあれば、下位のチームが逆襲に転じることだってあります。
私が交流戦で今も鮮明に覚えているのは2022年。就任1年目の新庄剛志監督率いる日本ハムと、甲子園で対戦したときです。
この年の新庄監督は、選手の打順や守備位置を頻繁にシャッフル。常識に捉われない戦法は話題を呼びました。
一番驚いたのは3連戦初戦の3回表・無死満塁の場面で、スクイズを決めてきたことです。その後、一死満塁でヒットエンドラン!
新庄監督の発想もスゴいですが、それをやり切った選手に敵チームながら感心してしまいました。
おそらく新庄監督の作戦に対し、選手全員の感度が高くなっていたんだと思います。監督だったら、この場面で、どんな手を打ってくるか。常に、そんなアンテナを立てながら試合を進めているから、選手は監督の戦術に的確に応えられるんです。
こういう野球は見るほうも、やるほうも楽しい。私も自分の監督1年目は批判を承知のうえで、思い切った作戦を積極的に敢行したのを思い出しました。