■シンプルな野球のパ・リーグ 捕手のリードがカギ
この日は、私も新庄監督に触発されて8回満塁の場面でスクイズをお返し。結果はファウルでしたが、チームのムードが活気づいたのは確かです。この影響か最大6点差をひっくり返して、試合は9対7で逆転勝ち。その勢いのまま交流戦も12勝6敗と2位でフィニッシュしました。
これまでの交流戦の結果を見ると、タイガースに限らず、セ・リーグはかなり分が悪い。過去20回のうち、実に17回もパ・リーグが勝ち越しています。セ・リーグ出身としてはやはり、この結果は悔しいですね
実力は一枚も二枚も上手なパ・リーグの野球を、ひと言で表すなら“シンプル”です。
バッターはストレートを待って打つのが基本で、そこから変化球にもアジャストしてくる。一方、セ・リーグは、どのチームも配球を読んで対応してくるバッターが多い。
だから、交流戦でキャッチャーは裏をかく必要はありません。変化球を空振りしたから、次は裏をかいて真っすぐ勝負という選択をすると、痛い目に遭います。フォーク空振りで追い込んだのなら、最後もフォーク勝負が正解です。
よく言われますが、パ・リーグには真っすぐの強いパワー系ピッチャーが、たくさんいます。バッターもそれに対応した結果、野球がシンプルになったと言えるのかもしれません。
しかし、今のタイガースには佐藤輝明、森下翔太という、パワー系ピッチャーの真っすぐに力負けしない主砲がいます。彼らが交流戦でパ・リーグの投手を、どう攻略するか。これは見ものだと思います。
矢野燿大(やの・あきひろ)
1968年12月6日生まれ。90年ドラフト2位で中日ドラゴンズへ入団。97年オフにトレードで阪神タイガースへ移籍すると、正捕手としてチームの躍進を支え2度のリーグ優勝に貢献。