■またも寄り道しそうな『風、薫る』

 実習編なのに毎週木曜になると、りん(見上)が休みで実家に帰ったり、唐突に恋愛展開が始まったりと、落ち着かなかった本作。第10週はヒロインを軸にしつつ周辺人物の背景を描き、物語に深みを出すという、朝ドラ定番の展開で落ち着いて見られた。その影響があったようで、13%台に下げていた視聴率は、台風が来る前の47回(2日)では14.8%に戻していた。

 このまま実習の様子を描きつつ、夕凪(村上)と直美(上坂)の母親の行方にフォーカスしてくれればいいのだが、そうもなりそうにない。シマケン(佐野晶哉/24)はりん(見上)への想いをモヤモヤさせたままのうえ、5月30日に放送された本作のPR映像によって、近いうちに虎太郎(小林虎之介/28)が上京することが明らかになった。

 虎太郎は栃木のときの百姓姿と違い、こざっぱりしたスーツ姿でりんの実家に登場。今後、りんをめぐる三角関係など、またもや余計なひと悶着が起きそうだ。さらに、りんの妹・安(早坂美海/19)の結婚問題も残されており、実習から物語が脇道にそれることで、再び視聴者の支持を落としそうで心配だ。

 本作はシマケンが「自分は何者でもない」と何度も語ったり、安も含め、女性たちが女の幸せを模索したりと、新しい“自分探し”が裏テーマのように仕込まれている。明治という時代が変わるタイミングだから、みんな新しい“なにか”を探しているというのはわかるが、ドラマとして明らかに盛り込みすぎ。朝ドラに現代的なモチーフを入れたかったのだろうが、うまくいっているとは言い難い。

 しかし、第11週のあらすじによると、りんは夕凪を助けるため、廃娼運動の記事を掲載した新聞社を訪ねるが、そこでシマケンがペンの力によって、初めて物語に深く関係してきそうだ。りんとの恋愛模様の行方はわからないが、不人気気味の木曜シマケンを、もう少し見守ってみたい。(ドラマライター・ヤマカワ)

ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。