■「習近平氏に最後までやってもらうしかない」

 さらに、習近平国家主席が躍起になる経済の立て直しも、絶望的だという。

「本来は淘汰される赤字企業でも地方政府は倒産させない。倒産増は中央政府からの覚えが悪くなることに加え、長年、賄賂で癒着しているため、追い貸しで企業を延命させる。ゆえに、企業はコスト割れを承知で受注。低価格競争が止まらずデフレは勢いを増すばかりで、債務の焦げ付きも無数に生じています」(前出の井野誠一氏)

 国民の不満の矛先は、当然、習近平政権へと向かう。

「人口減少と超高速の高齢化による都市部を中心とした経済不安は、若者を中心に不満をうっ積させており、“第二の天安門事件”が起きかねないリスクを常にはらんでいます。ゆえに、ちょっとした住民の集会にも神経をとがらせ、不穏な人物、グループは即粛清している状況です」(同)

 前出の浜田和幸氏も言う。

「年間500件近くの反政府デモが起きているといわれ、それを警察力・軍事力で無理やり抑え込んでいますが一切、報道させません。

“台湾統一”を声高に叫ぶのは、不満の矛先を外に向けさせようという狙いでしょう」

 来年には、党総書記として異例の4期目を目指すとされる習主席だが……。

「将来有望な党幹部や軍高官の首を切って、“習近平氏に最後までやってもらうしかない”という雰囲気を作ろうと躍起です。もし3期や4期目途中で終われば、習氏が責任を問われ、一族が路頭に迷いかねない。ゆえに、必死なんです」(前同)

 独裁化を強める中国。14億人の未来は、いかに。

井野誠一(いの・せいいち)
元外交官。国際問題評論家。外務省入省後、在韓日本大使館、軍縮課勤務などを経て国際問題評論家となる。朝鮮史、中国史に造詣が深い。

浜田和幸(はまだ・かずゆき)
国際政治経済学者。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所(CSIS)、米議会調査局(CRS)等を経て、参議院議員に当選。総務大臣・外務大臣政務官を歴任。『ヘッジファンド』など60冊を超えるベストセラー作家。著作の多くは中国、韓国、ベトナムなど海外で翻訳出版されている。創作漢字アーティストとしても活躍中。