■資源価格の高騰が招いた「インフラ略奪」、どう防ぐのか

 ネット上でも「空き室を狙う手口は巧妙だが、住んでいる部屋のものを外されたら生活が詰む」「盗んだ後の転売ルートが確立されていること自体がおかしい。買い取り業者の本人確認をもっと厳格にすべき」「水道料金を払っている善良な市民が、なぜこんなリスクに怯えなければならないのか」といった声が聞かれ、インフラの安全神話が揺らいでいることへの危機感が顕著です。

 「水道メーターは検針の都合上、どうしても外部からアクセスしやすい場所に設置されており、物理的なガードが非常に甘い。1個あたりの売却価格は数千円程度でも、複数を集めればまとまった額になるため、リスクの低さを優先する犯行グループにとっては格好の標的です。今後は、鍵付きボックスの導入や防犯カメラによる監視の強化はもちろん、不自然な持ち込みを即座に通報する買い取り業者側のモラルと法的拘束力の強化が、この『インフラ略奪』を止めるための絶対条件となるでしょう」(生活情報サイト編集者)

 水道メーターを盗む行為は、単なる窃盗罪に留まらず、漏水による浸水被害や建物への損害、そして何より「水」という生存に不可欠なラインを絶つ重大な犯罪。自治体による見回りの強化や、不要な空き室のメーター取り外しといった対策が急ピッチで進められていますが、全戸を24時間監視し続けるのは物理的に不可能でしょう。

 かつてはマンホールやケーブルが狙われ、今は水道メーターにまで被害が拡大しています。資源価格の高騰が続く限り、次に標的となる公共設備が現れても不思議ではありません。“暮らしを支える設備”をどう守るのか。自治体、業者、市民のすべてに、これまで以上の危機管理意識が求められています。

戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。