■年間数万円の差にもなる“悪魔の固定費”

 生活インフラにかかわる固定費にも、大きな地域差がある。それが、上下水道料だ。水道は毎日使うものだけに、月々の差が積もれば年間数万円規模にもなる。気づかぬうちに家計の財布にダメージを与える、悪魔のような固定費と言える。

「水道料金は、水源が近ければ水を運ぶコストが抑えられます。逆に、水源が遠かったり、人口が少なかったりすると、設備の維持費を少ない人数で負担することになる。だから、同じように水を使っていても、街によって料金に差が出るんです」(前出の丸山晴美氏)

 車社会の地域では、ガソリン代の安さが、そのまま家計防衛になる。

「ガソリンは、地域差が生活実感に直結します。車通勤や買い物、通院で毎日使う家庭なら、1リットル数円の差でも、年間では数万円単位になる。思わず県境を越えて給油したくなるほどの地域差があります」(前出の経済ジャーナリスト)

 資源エネルギー庁が発表した5月25日時点の全国平均価格は、1リットル当たり169.2円。和歌山県とは、1リットル当たり11円以上の差がある。仮に50リットル給油すれば1回で約580円の差。月に何度も給油するならば、無視できない額だろう。

「ガソリン代は、製油所や油槽所から近い地域ほど安くなりやすい傾向があります。反対に、山間部や離島では輸送コストがかかる。さらに、スタンド同士の競争がある地域では、価格が下がりやすいですね」(丸山氏)

 まさに「ちりも積もれば山となる」だ。

【後編】では家計に最も優しい、“安い街”は結局どこなのか。各項目を横断して見えてきた「総合ランキング」で都道府県と市町村名を発表する。《【後編】はこちらから》

仲西康至(なかにし・こうじ)
1965年、奈良県生まれ。近畿大学理工学部卒業後、商社に入社し、半導体事業部に所属。2003年にFP(ファイナンシャル・プランナー)資格取得。06年3月に退社し、独立系FP「生活アドバイスまごころ」起業。同年8月、国内初の「移住専門FP」としてスタートし、マスコミに取り上げられる。同年11月には家族で北海道へ移住。「移住プランナー」として、約19年間で2,500組の移住相談実績、500人の移住をサポート。

丸山晴美(まるやま・はるみ)
外国語の専門学校を卒業後、旅行会社、フリーター、会社員、コンビニ店長へと転職。22歳で節約に目覚め、年収が350万円に満たないころ、1年で200万円を貯める。26歳でマンションを購入。2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザーの資格を取得し、お金の管理、運用のアドバイスなどを手掛け、TV、雑誌などで幅広く活躍している。