■iDeCoとNISAの違いを【CFPが解説】
──老後に必要となる生活費を準備する場合、どのようにすれば計画的に準備できますでしょうか。
順番としては、
1.ねんきん定期便や企業年金の見込額を確認する
2.退職後の生活費を現在の家計から再計算する
3.その不足額を何年分準備すべきか決める
という流れです。ここで重要なのは、老後資金を一気に作ろうとしないことです。毎月積み上げる仕組みに落とし込めば、感情に左右されず継続できます。
ポイントは「税制優遇を最大限活用しながら、長期・分散・自動化で積み立てること」です。具体的には、
1.新NISAによる積立投資
2.iDeCoの活用
3.余力があれば課税口座での補完
という三層構造が基本になります。
とりわけ、iDeCoは掛金全額が所得控除となるため、節税効果と老後資金形成を同時に達成できる点で極めて有効です。一方で60歳まで引き出せない制約があるため、流動性資金とのバランス管理が重要です。また、新NISAは非課税で運用益を確保しつつ、必要に応じて取り崩せる柔軟性があります。老後資金準備は、商品選びより先に、毎月いくら自動で積み立てるかを決めることが成功の鍵です。
──藤田さんは退職金が減額される代わりに、これから受け取る月々の給与が増額されます。老後へ向けて増額された給料はどのように使うのが効果的でしょうか。
今回のように月5万円の基本給アップがあっても、実際に自由に使えるのは税金や社会保険料を差し引いた後の手取り増加分に限られます。そのため額面どおりに生活水準を引き上げてしまうと、将来「退職金は減ったのに資産が残っていない」という状態に陥りやすくなります。対策としては、増額分を最初から別口座へ自動的に移す仕組みを作ることが重要です。
資金の振り分けとしては、
1.当面使う予定がない資金は新NISAで長期積立
2.節税効果を重視するならiDeCoを活用
3.数年以内に使う可能性がある資金は定期預金や個人向け国債などの安全資産で保有
という三分法が現実的です。
今回のように、本来であれば退職金として有利な税制で受け取れたはずの資金が給与課税に変わる場合、iDeCoの所得控除やNISAの非課税運用を活用して、税負担による目減りを補う発想が重要になります。
最も重要なポイントは、「増えた給料を生活費に溶かさない」ことです。昇給のタイミングに合わせて積立額も同時に引き上げることで、会社都合で減少した退職金の一部を、自分自身の資産として着実に確保することが可能になります。
【記事前編】では老後に必要となる資金の目安を宮岡秀峰氏が解説する。《【前編】はこちらから》
宮岡秀峰(みやおか・しゅうほう)
公認会計士、税理士、行政書士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)。税理士法人アクシア代表社員、アクシア公認会計士事務所代表。公認会計士として会計・財務の視点から中小企業支援に取り組むほか、相続・事業承継分野にも幅広く携わる。講演や税務相談の実績も豊富で、会計・税務分野の書籍共著、雑誌寄稿も行なっている。
税理士法人アクシア 公式HP:https://axia.or.jp/