■タダでごみを捨てられる時代は終わっていくかも
さらに返す刀で「街中にごみ箱が置かれているからといって、外国がごみ問題にうまく対処できているとは思えない」とも続ける。
「カナダではタバコの吸い殻をそのまま入れるからごみ箱が燃えていたりするし、ニューヨークでは大型ブルドーザーみたいな車両で街中のごみを強引に回収したりしています。じゃあ、その莫大な費用は誰が払うのか? 公共事業なら税金ですよね」
ここで問題となるのは、ごみに金銭を払うことを極端に嫌う日本人の国民性だ。企業も個人も、なるべくごみに費用をかけたくない。だが、実際には回収するために人件費も運搬費もかかってくる。そこを誰が負担するかという話になるのである。
「たしかに昔は日本でも街中にごみ箱がたくさんありましたが、それはまだ分別が今ほど進んでいなかったからです。ごみが増えれば最終処分場の問題もありますし、資源として分けなければいけない。行政目線で言うと、ごみ箱を設置したら余計にお金がかかるんです。分別されていないものを処理しなきゃいけなくなりますから」
街中に散らかったごみを拾っているのは行政ではなくてボランティアだ。むしろ行政サイドとしては焼却炉に入れるごみが増え、余計にコストと手間がかかることを苦々しく思っている面もあるという。
「もうタダでごみを捨てられる時代は終わっていくかもしれませんね。実際に群馬、京都、川越などの観光地では“有料ごみ箱”を試験的に設置しています。すでに全国の市町村の約7割が家庭用ごみ袋の有料化に踏み切っていますし」
当初は猛反発が起きたスーパーやコンビニのレジ袋有料化も、結果的に7~8割の人がもらわなくなったという調査が出ている。
「人って現金なもので、お金がかかるとなればごみを減らす努力をするんです。メーカー側だって、たとえば回収義務が生じたら過剰包装をやめるでしょうし。結局、落としどころは金銭面しかないと思うんですよね」
ごみ問題の本質はコストの押しつけ合いだが、それが限界に近づいているのも事実。もう我々はシビアな現実から目を背けることはできない。
滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
1976年生まれ。東京都出身。98年に西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。「THE MANZAI」では12年と14年に認定漫才師50組に選ばれる。23年には「THE SECOND~漫才トーナメント」にて準優勝。12年より芸人と兼業でゴミ収集会社に勤務。ごみ清掃員として見えてくる「社会世相」「食品ロス問題」「環境問題」などを自身の体験をもとにSNSや執筆、講演会などで発信している。著書に『このゴミは収集できません』(白夜書房)、マンガ『ゴミ清掃員の日常』(講談社)、『ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本』(太田出版)がある。