■番犬の実力を引き出すのは「室内飼い」と「しつけ」

「番犬として優れているのは日本犬も同様です。日本犬って結構うるさいんですよ。人に懐きにくいですし。ギャンギャン吠えたり、足元に噛みついたりする。日本犬といっても種類はいろいろありますが、柴犬なんかは女性でも飼いやすいような性格に改良されています。それでも本能的に他人を警戒する性質は残っていますからね。その警戒する傾向がもっと強いのが四国犬とか紀州犬とか北海道犬。昔で言うアイヌ犬です。非常に慣れにくいからこそ、番犬として考えたら優秀です」

 現在、国内で犬の外飼いは1割以下にとどまっている。室内飼いと外飼い、どちらが防犯面では有効なのか。

「当然、これは室内飼いです。なぜなら家族は室内にいますから。それに外飼いの場合、鎖に繋がれていたりするので犬の行動範囲が限られてしまう。犯人がどこから忍び込んできても、コトっという音がすると犬は人間よりはるかに敏感に反応します。匂いもわかりますし、人間が聴き取れない音もキャッチする。ですから警戒心の強い犬であれば、犯人の侵入に気づく可能性が高いでしょう」

 そして何よりも重要なのは、最低限のしつけを普段からすることだという。驚くべきことに、「待て」「お座り」「お手」などを教えることで防犯効果がまったく違ってくるそうだ。

「“待て”などのしつけをするのは、決して飼い主の自己満足のためではありません。そうしたしつけを入れることによって、飼い主を守ろうとする忠誠心が強くなるんです。やっぱり大事なのは犬と人間の間で信頼関係を構築することなんですよね」

 もちろん訓練学校やしつけ教室といった“プロ”の手に任せるのも一手だろう。

「集中して訓練を入れるなら専門家のほうが早いです。我々は様々な犬種や性格の犬を扱っているので、そこで適切な指導ができますから。“犬との共生”という意味で、日本はまだ遅れている面があるんですね。しつけや訓練をちゃんと入れれば、犬は本当にいろんな場面で活躍してくれます」

 ポテンシャルを最大限まで引き出すためにも、まずは愛犬と真剣に向き合うことから始めてみるのがいいかもしれない。

横須賀警察犬訓練所
「犬の学校」として60年以上の歴史を持つ。警察犬の専門的な訓練はもちろんのこと、犬種・大きさの大小を問わず、人と一緒に生活していくうえで必要な一般家庭でのしつけの指導にも力を入れている。所長の進藤誠氏は一般社団法人全日本犬訓練士連合協会で代表理事も務める。